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ヤフーの社外取締役3人に対する再任反対は、売り渡し請求の決議に備えたものだ。8月1日の取締役会でアスクル株の売り渡し請求を決議しても、翌日の株主総会で岩田氏と3人の社外取締役は再任されない。そうすれば、総会後の取締役会で、前日の決議を撤回することができる。「独立社外取締役の再任に反対した真の狙いはここにある」とみているアナリストもいる。
ヤフーとアスクルの関係が悪化したきっかけ
ヤフーの親会社だったソフトバンクグループ(SBG)は、アスクルとの相乗効果を引き出すように求めていた。ところが18年、ヤフーのトップがアスクルと良好な関係を築いてきた宮坂学氏から川邊健太郎氏に交代。今年6月にはヤフーの親会社がSBGから通信子会社のソフトバンク(SB)に変わり、これを機にSBの意向が全面的に出てきた。
SBの子会社に組み込まれ経営の独立性を失ったヤフーについて、アスクルの岩田社長は「かわいそう」と同情を口にしている。
アスクルは7月28日、同社の社外取締役らで構成する独立役員会から「ヤフーを批判する声明の提出があった」と発表した。
ヤフーがアスクルの独立社外取締役3人の再任議案に反対する議決権を行使した点について、「上場子会社のガバナンスを蹂躙(じゅうりん)している」と批判、さらに「(ヤフーは)独立社外取締役の存在意義をまったく認めていない」と断罪した。
アスクルの独立役員会は社外取締役ら6人で構成されている。8月2日開催のアスクルの株主総会で社外取締役3人の再任は否認される。それによりアスクルには独立した社外取締役がいなくなる。
強引な手法でアスクルを手に入れたSBGだが、孫正義社長は「資本市場の信頼性を失わせた」との汚名を長らくそそぐことができなくなる恐れもある。
(文=編集部)
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