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東京五輪組織委参与の間野義之・早大教授に聞く、新しい施設設計思想への転換

東京五輪、当初予算の6倍の2兆円に…破綻したコンパクト五輪、「引き算」の五輪で

構成=松崎隆司/経済ジャーナリスト

間野 いろいろなハイテクノロジーがありますが、なんでもやればいいというものではありません。これまでの施設整備のビジネスはB to B、政府や自治体に売っておしまいというかたちでしたが、B to B to Cでコンシューマーにとってどのような価値を生むかを考え、そこから施設使用料や入場料、広告料、放送権料などにどう反映するかを考えていかなければなりません。単に便利だから、早いから、安全だからということだけでなく、ハイテクとローテクと合わせてハイブリッドでやってもいいのです。

――プロフィットセンターにするには、具体的にどうすればよいでしょうか。

間野 ひとつは、有料観客を集められるイベントをたくさん打つことです。スポーツに限らず、音楽などのイベントです。たとえば東京ドームで有料観客数の大きなイベントが、世界らん展です。あるいはふるさと祭り東京というイベントで、いろいろなお祭りがド―ムの中に結集します。もっと人々が有料入場してもいいというイベントを打てるかどうかにかかっています。あとは人件費の部分をどれだけ削減できるか。収入の増大とロボテクスなどを導入して、どれだけコストを削減できるか、この2つが大きな課題だと思います。

設計思想の変更が問われる

――今までは、何が問題だったのですか。

間野 従来の設計思想は、施設を「観客が見る場所」というよりも「選手が競技する場所」ととらえる「国体施設の発想」が強かったのです。そうではなくて、観客・観戦者を魅了するような設計事業思想でつくっていく必要があります。

 実際に有明アリーナは、運営支援事業者を事前に選定しています。普通は設計工事、竣工と段階的に運営となっていくのですが、設計の段階で運営事業者を選定しました。どうやって収入を上げてコストを下げて、利益を上げて事業をやっていくのかを考えているからです。従来型ではない五輪競技施設の建設が行われています。

――東京五輪の施設では、すでにそうした運営事業者の選定が行われているのでしょうか。

間野 少なくとも東京都が新規で行う5つの恒久競技施設の設計には、運営支援事業者が入っています。こうした事業者が設計段階から助言をして改良・改善しています。無駄を最小限にしなければいけないのは、五輪組織委がつくる仮設の施設です。

――仮設施設の問題点とは。

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