各店舗の多様性
ローソンに置かれている名産品は、「コンビニ仕様」として通常商品を小分けにしたものも多い。価格も下がるため、地域の出身者ではない“よそ者”でも購入の“敷居”が下がるわけだ。
11年12月には「京橋駅前店」に北海道・函館市のアンテナショップ「函館もってきました。」がオープン。東京の中心地で近隣にビジネスホテルが多いこともあり、名物の「いかめし」を“部屋飲み”のつまみとして購入する出張客など、予測もしなかったニーズを掘り起こしたという。
この取り組みからローソンが見いだしているのは、「各店舗の多様性」だ。
「これまでコンビニは、お客さまのさまざまなニーズに対して質の高い、全国一律展開によるサービスで応えてきましたが、業界全体が成長産業から成熟産業に変わるにつれ、コンビニの『あるべき姿』も変化していると考えます。自宅近所にある青果店と、隣街の青果店では、客層も雰囲気も品揃えも違うものですが、コンビニも同じです。地元商圏に密着した店舗が求められています。このアンテナショップ併設店舗を通じて、そのようなニーズに応えていきたいと思います」(同)
オフィス内にローソン
もし社内にコンビニがあったら、わざわざ遠くの店に買いに行く必要もないのに──。
普段、こう考えている人も多いのではないか。過疎化した町村に住む人々や、郊外に位置する流通センターや工場の勤務者だけではない。近年はオフィスビルの高層化に伴い、「40階の会社から、1階のコンビニに向かうのは意外に大変」という声も聞かれるようになった。
そんな背景から、「あなたの職場にちっちゃなローソン」をキャッチコピーに、プチローソンの事業はスタートした。現在は都内23区、約100カ所以上の企業で展開しており、17年度中に1000カ所の設置を目指しているという。外観は公式サイトなどをご覧いただきたいが、極めて小さな棚にガムやチョコレートといった菓子類や、カップ麺などが整然と並んでいる。キヨスクを連想する向きもあるだろう。
「オプションでコーヒーマシンや、お茶、スムージーなどを収納できる冷蔵庫を付けることも可能です。つまり朝、昼食の対応というよりは、おやつの時間を想定していまして、実際、午後3時に商品が最も売れるという社内調査の結果もあります」(同)