セブン-イレブン、ファミリーマートに続き、店舗数でコンビニエンスストア業界3位のローソン。4月には、店舗数を現在の約1万3000店から2021年度には1万8000店に拡大する方針を発表している。コンビニ市場はトップ3の寡占率は9割に達するともいわれるが、依然として熾烈なシェア争いが繰り広げられているわけだ。
上位2社への追随体制を整えるローソンに対し、「お勧めの店舗(または、現在力を入れている取り組み)」について取材を申し込むと、2つの事業が具体例として示された。ひとつはアンテナショップ併設店舗で、もうひとつは設置型オフィス内店舗の「プチローソン」だという。
まずアンテナショップ併設店舗だが、8月現在、日本全国で10店舗が営業している。たとえば新宿イーストサイドスクエア店(東京都新宿区)には北海道・旭川市、名駅南広小路店(名古屋市中村区)は沖縄県、安土町二丁目店(大阪市中央区)には熊本県のアンテナショップが各店内にコーナーを持ち、地元の名産品などを販売している。
この狙いはなんなのか、同社のコミュニケーション本部広報室に聞いた。
「たとえば弊社は、おでんの出汁を全国でブロック別に変えたり、地域限定のおにぎりや弁当を揃えたりと、地域密着・地産地消のビジネスモデルを追求してきた自負があります。また、各自治体と地産地消の協力や災害時の連携などを定めた包括協定の締結を進めています。そうした積み重ねのなかで、徳島県からアンテナショップ事業の相談を受けたことが事業の原点になります」
2009年2月14日付徳島新聞朝刊には『ローソン内で県特産品PR 都内店舗3月下旬、アンテナショップに』という記事が掲載されている。
記事によると、「再開発事業に伴って、徳島県のアンテナショップが入居していたビル」の取り壊しが決定。困った県は「包括業務提携を結んでいたローソン」に相談した結果、ナチュラルローソン虎ノ門巴町店(東京都港区)にアンテナショップが設置されることになった、というわけだ。
特筆すべきは社会貢献事業の色彩が強いというわけではなく、純粋にビジネスとして成立していることだ。だからこそ、今でも同店には徳島県のアンテナショップが営業を続けており、全国10店舗に拡大したのだろう。
「普通のアンテナショップでは24時間365日、地域の名産品を販売することは難しいかもしれません。併設店舗には、わざわざ遠方から来てくださるお客さまもいらっしゃいますし、近くの会社に勤務する方々が興味を持って買ってくださることも珍しくありません。店舗の売上にも貢献し、弊社の成功事業となっています」(同)