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米ハーバード大学、入学審査でアジア系志願者に差別的な措置か…考察:東京医科大女子一律減点

文=大野和基/ジャーナリスト

レガシー制度

 レガシー制度とは、ハーバード大学などアイビーリーグの大学に存在する制度で、卒業生の親族・子孫が優先的に入学できるシステムである。アイビーリーグでは新入生の10~15%がこれにあたるともいわれているが、実際に入学してみると、誰がその制度を使って入ったかはわからない。

 たとえば、元米大統領のジョージ・W・ブッシュは、祖父も父親もイエール大学出身で、ブッシュ(Jr.)はイエール大学にレガシー制度を利用して入学したといわれている。日本でいえば、東京大学や京都大学に、成績が悪くても親がその大学の出身であれば優先的に入学できるようなものだ。私が留学したアイビーリーグのひとつ、コーネル大学でも同制度はあるといわれている。

 この制度は100年ほど昔から続いているが、多様性を阻害しているという批判もある。白人や富裕層だけに有利な制度で、多くの大学がいまだに制度を維持しているためだ。しかしながら、成績だけで入学を決めることが大学にとっていいかどうかは意見が分かれる。

 アメリカの大学入試は、SAT(共通テスト)の点数だけでは決まらない。満点でもアイビーリーグに不合格となることは珍しくない。面接では将来のビジョンを聞かれるが、日本の受験生によくあるような「この大学に行きたいから」という理由はまったく通用しない。将来のビジョンが魅力的でない場合、いくら成績がよくても落とされるのだ。ボランティア活動をどれだけ行ったかなど、課外活動も重視される。勉強だけできても合格できないため、いくら成績が良くても「課外活動が十分ではない」「リーダーシップが欠如している」という理由で、アジア系の学生が不合格になることもある。

 その人物が将来、社会にどれだけ貢献できるか、ということも重視するので、医学部の場合、「結婚したら離職する」と面接で正直に言えば不合格になる可能性も出てくる。あるいは、面接官が、将来的に離職する可能性を感じたら不合格にするかもしれない。アメリカの大学入試のプロセスは長い。SATや高校の成績だけでは決まらない。推薦状もかなり重視される。日本の大学は、ある意味で怠惰である。点数だけで決める大学がほとんどだからだ。

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