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オリンパス、“物言う”外資系ファンドを経営に参画させるウルトラCで株価急騰

文=編集部

「関係者によると、バリューアクトは18年末、同社が推薦する取締役を就任させるため、臨時株主総会の開催をオリンパスに要求していたようだ。外国人株主比率が高いオリンパスとしては、次の株主総会で現経営陣が退陣に追い込まれる可能性を残すより、バリューアクトと手を組む方が得策と判断したとの見方もある」(1月20日付日経ヴェリタス)

 6月の株主総会では、ヘイル氏のほか新たに2人が取締役に就く見込み。うち1人は社外から選ばれる可能性が高い。指名委員会設置会社に移行することで、社外の意見が強く反映される。

デジカメ事業から撤退の可能性も

 オリンパスは、損失隠し事件後、取り組んできた経営の仕組みや組織を変える経営改革が遅れている。1990年代の財テク失敗で抱えた最大1000億円に上る含み損を簿外に隠蔽。歴代の経営陣トップがこれに関与し、「経営の中心部分が腐っていた」(第三者委員会による報告書)と酷評された。

 損失隠しが発覚し、全取締役が退任したのに伴い、2012年、笹宏行氏が執行役員から社長に大抜擢された。

「笹氏は内視鏡一筋の技術者だったことから、経営手腕には疑問符が付いていた」(オリンパスの元役員)

 主力の消化器内視鏡で世界シェアトップを誇る割には、利益水準が低い。2019年3月期決算(国際財務報告基準)は、連結売上高が前期比ほぼ横這いの7900億円で、純利益は54%減の260億円の従来予想を据え置いたが、2018年4~12月の実績では、純利益は前年同期比86%減の65億円だった。過去の会計不祥事をめぐる和解金やデジタルカメラの中国工場閉鎖に伴う費用などが重荷となった。株主から損害賠償を求められていた訴訟の和解金194億円を計上した。

 新社長に就く竹内氏は経理、企画畑出身。欧州や米国の現地法人での勤務が長く、12年以降は財務部門を担ってきた。“ポスト笹”体制では若返りを図るとの見方があったが、果たされなかった。現在の経営陣は12年にそろって就任したが、次の世代が育っていない。

 新社長の経営課題は、消化器内視鏡で高いシェアを持ちながら利益が低い体質を変えることだ。構造改革プラン「トランスフォーム・オリンパス」では、世界から優秀な人材を登用する新人事制度を導入し、医療機器事業を5部門から2部門に再編する。また、外科手術向けの腹腔鏡や関連製品に注力する。

 デジカメ事業は低収益で、18年4~12月期に同事業の営業損益は131億円の赤字(前年同期は15億円の黒字)に落ち込んだ。株式市場では「経営に参加するバリューアクトは、デジカメ事業からの撤退や縮小を提案するのではないか」との見方が広がっている。

 物言う株主を経営に参加させるオリンパスの“冒険”は、果たして成功を収めるのだろうか。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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