ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOは1月31日、2019年3月期の連結純利益が前期比12%減の178億円になる見通しだと発表した。減益になるのは1998年の設立以来、初めてだという。
減益の主な要因は、プライベートブランド(PB)事業の不振。生産工程で問題が発生したほか、PB事業の当初の売上目標に届かず、PB事業で125億円の赤字を計上する見込みになったとしている。
さらに、昨年12月に開始した、有料会員になると購入額の10%を割引きするサービス「ZOZOARIGATOメンバーシップ」を受け、値引きを嫌った42店舗が離脱するなどして“ZOZO離れ”などとも報じられているが、ZOZOの経営をどうみるべきか。
元公認会計士で会計評論家の細野祐二氏はまず、ZOZOの資金繰りについて次のように解説する。
「ZOZOの財務を財務諸表危険度分析プログラム『フロードシューター』によって分析したところ、毎月14億円ほどの資金不足が続いている可能性があるとみられます。今から12カ月後くらいに資金ショートが発生する可能性もあるのではないでしょうか。メインバンクの三井住友銀行がコミットメントラインに基づき150億円の借入枠を設定していますが、もし資金繰り悪化に備えて増額することになれば、銀行側は担保を要求してくるでしょう。ZOZOに担保はあるのかは、わかりません」
また、細野氏はZOZOのビジネスモデルについて、次のように指摘する。
「ZOZOでは、もともと商品を購入したお客から代金が入金されるのは購入日から20日後、ZOZOからメーカーへの支払いは20日後と、支払サイトと入金サイトが一致していました。このサイト構造の下では運転資金が要らないので、ZOZOは無借金経営を続けてくることができました。しかし、ZOZOは2016月11月にツケ払いを導入しました。つけ払いの入金サイトは60日なので、支払サイトとの間で40日分のサイト負けになってしまいます。入金サイトが60日で支払サイトが20日というビジネスには、無理があるように感じられます。このサイト負けをカバーしているのが、28%という高い粗利益率です」
ZOZOの経営をめぐっては最近、一部では「実質赤字」「資金繰り悪化」「資金ショートの懸念」などの報道も出始めているが、現在の財務状況について確認すべく、同社へ問い合わせたところ、「4月末に決算を控えている状況のため、現在沈黙期間でございましたので、回答が難しい状況でございます」とのことであった。
メーカー側のメリット
一部メーカーがZOZOから離脱したものの、現在約7000ものブランドが出店する国内最大のアパレル通販サイトであることには違いない。メーカー側にとって、ZOZOと取引するメリットとはなんなのだろうか。
「デパートや量販店からの入金サイトは一般的に90日ですが、ZOZOからの入金サイトは20日で、かつZOZOのほうで在庫として商品を持ってくれるので、メーカー側にとってZOZOは使い勝手がよい存在といえるでしょう」
設立後初の減益になったとはいえ、取り扱い額が拡大を続けており、PB事業の赤字について前澤友作社長は「高い勉強代となってしまった」と前向きにとらえている様子だけに、ZOZOの成長に期待したいところだ。
(文=編集部)