在宅時間の増加で“おうちコーヒー”が広まり、自宅にコーヒー器具が一式揃っているという人もいるかもしれません。また、豆の焙煎具合や挽き方、抽出の仕方によってコーヒーの味が変わることを知っているという人もいるでしょう。では、自分の好きなコーヒーには、どんな豆や挽き方、淹れ方が合っているのかは知っていますか? そんな、コーヒーの世界をもう少し深く知りたい人にオススメなのが、自分だけの究極の1杯を作れる「OGAWA COFFEE LABORATORY 下北沢」です。
おいしいコーヒーを作るための「実験室」
小田急線の線路跡地「reload(リロード)」の一角にあるOGAWA COFFEE LABORATORY 下北沢は、京都の老舗ロースター「小川珈琲」の都内2店舗目となる新業態。「体験型ビーンズサロン」を掲げ、コーヒー豆の販売に重きを置いている、ちょっと珍しいお店です。そのため、ほしいメニューを注文して完成を待つのではなく、バリスタとマンツーマンでおいしいコーヒーを淹れるのが基本ルール。
店内はとてもシンプルで、実験室という言葉がピッタリです。左奥のカウンターでコーヒーを淹れ、完成したら右側のテーブルでいただきます。
「当店には約21種類以上のコーヒー豆が揃っていて、バリスタがお客様に味や飲み方などをカウンセリングしてから、使用するコーヒー豆を一緒に決めます。その後、約40種類の器具の中から、選んだコーヒー豆と飲み方に適したものを選びます」と語るのは、企画開発課の稲葉さん。
ここでは、自分で淹れるのか(器具使用料300円)、バリスタに淹れてもらうのか(バリスタ抽出料400円)を選びます。初めての人などはバリスタ抽出を希望するケースが多く、2回目以降や普段からコーヒーを淹れ慣れている人は自分で淹れるケースが多いといいます(中には、コーヒー器具の購入を検討していて、ここで試してから購入する人もいるのだそう)
まずは、コーヒー豆選びから。Beans Listには、シングルオリジン13種にブレンド8種、さらに期間限定のFeatured Coffeesを含めた約21種類以上が並びます(シングルオリジン、ブレンドの種類は取材時の情報)。バリスタが豆の特徴などの説明を交えながらカウンセリングしてくれるので、好みに合ったコーヒー豆が見つかるでしょう。
「酸味が少なくて飲みやすいコーヒー」と伝えると、優しい甘さが特徴で苦みと酸味のバランスがよく、シロップのような口あたりのno.6「Brazil Canta Galo(ブラジル カンタガロ)」をすすめてくれました。ミルクと合わせてもしっかりコーヒーの良さを感じるということで、こちらの豆に決定。
味わいバランスがいい豆なので、抽出器具はペーパードリップとエアロプレスの2つを提案されましたが、自宅にない器具を使いたかったので、エアロプレスをチョイス。
これは空気圧を利用して淹れる方法で、ペーパードリップに比べ短時間抽出なのに、コクがありなめらか質感になるのだそう。ケトルは、店舗でも利用しているというカリタのKDP-800を(器具使用の際には電気ケトルタイプのKEDP-600を使用する)。豆を挽くグラインダーは手動のコマンダンテにしました。
使用するコーヒー豆や器具がすべて決まると、バリスタが器具を準備してくます。そして、いよいよ抽出スタートです!
まずはコーヒー豆約20グラムを計り、中挽きに設定したコマンダンテに入れて、ひたすらゴリゴリと挽いていきます。
コマンダンテは、挽き目の設定が細かくでき、プロも愛用するほど。ボディが軽く使いやすいのが特徴です。他と比べて力を入れずに豆を挽くことができるそうですが、実際に挑戦してみると意外と大変。「初めてコーヒー豆を挽く方の中には、驚かれる人もいます」と並床バリスタ。
ペーパーフィルターを敷いたキャップをチャンバー(上部の筒のようなパーツ)の底にセットし、挽いたコーヒー豆を移します。チャンバーを左右に振ってコーヒー豆が平らになったら計りに乗せ、お湯を120グラム注ぎ、パドルで10回ほどかき混ぜます。
20秒経ったら、プランジャーを差し込み、ゆっくりとプレスします。「プランジャーがコーヒー粉に接するくらいまで押し込みますが、最後まで抽出してしまうと雑味も一緒に出てしまうので、直前でストップするのがポイントです」(同)
今回は濃いめに抽出したので、最後にアメリカーノのように130グラムのお湯を足して完成です。希望通り、酸味は少ないけどやや深みがあり、とても飲みやすい1杯でした。
気に入ったコーヒー豆は店頭での購入も可能ですが、お店にリザーブするという手もあります。公式アプリを利用すれば、リザーブしたコーヒー豆の残量もわかります。
「コーヒー豆にとって最適な環境で保存しているので、いつでもおいしいコーヒーが淹れられますよ」(同)
また、店内には、お店で使用している器具の一部を販売する物販コーナーも。オリジナルのドリップコーヒーやコーヒーカップ、ディスクリプションカード入れなどもあります。
コーヒーのお供はクリームたっぷりのスコーン
OGAWA COFFEE LABORATORY 下北沢の人気フードは、コーヒーに合わせたオリジナルスコーン。シンプルでコロンとしたかわいらしいスコーン2つに、バリエーション違いのクリームが選べます。
今回は、シンプルなバタークリームを選びました。エディブルフラワーと、やや大きめのザラメが添えてあるのもうれしい。スコーンを2つに割って、クリームと一緒にいただきます。
外はサクッとしているけど、中はしっとり。全粒粉が配合されているので、香ばしさも感じます。まさに、コーヒーのために作られたスコーンです。
バタークリームの他には、ラムレーズンやローストナッツなどの入ったクリームがあります。また、ソフトクリームやジェラートもあるので、今の暑い時期にはピッタリです。
期間限定のスペシャルティコーヒーの試飲も
OGAWA COFFEE LABORATORY 下北沢では、気になるコーヒーの試飲もできます。「その場で淹れて試し飲みができる」と、コーヒー好きにはたまらないサービス! 料金はコーヒー豆の金額によって異なり、1種類につき60円~ほど。
今回は、農園は同じだけど、香りや味わいがまったく違うというno.5の「グアテマラ エルインヘルト ウノ」ウォッシュドプロセス(水洗式)と呼ばれるコーヒーと、期間限定のno.28の「グアテマラ エルインヘルト ウノ パカマラ ナチュラル」ナチュラルプロセル(非水洗式)と呼ばれるコーヒーを飲み比べてみることにしました。この2つは、品種と精選方法(果実からコーヒー豆にするまでの工程)が違うのだそう。
試飲は、目の前でフレンチプレスで淹れてもらえます。フレンチプレスで淹れるのは「抽出のブレが少ないため、味わいの比較がしやすい」(同)からなのだそう。
no.5はいわゆるコーヒーという香りと味ですが、no.28はストロベリーなど甘さのあるフルーツの香りとさわやかな酸味があり、まったくの別物でした。
今までは「コーヒー豆はフルーツの種」といわれても、あまりピンときませんでしたが、no.28を試飲して納得。そして、2つを飲み比べて、精選方法が違うだけで香りや味わいがこんなに違うのかと、ただただ驚きました。
コーヒー抽出というおいしい実験をしながら、ちょっとディープなコーヒーの世界をのぞいてみる。そんな、大人の自由研究を楽しんだ気分になれました。