●注文をより簡単にするAmazon Dash、Fire Phone
次に登場したのは、日本では行われていないサービスなのだが、アマゾンフレッシュという、生鮮食品などを取り扱うオンラインショップのためのデバイスだ。そのアマゾンフレッシュに特化したAmazon Dashは、音声やバーコードによって簡単に発注ができる仕組みをつくり上げた。
そして、今回発売されたFire Phoneの登場へとつながっている。Fire Phoneは、アマゾンのKindle電子ブック、インスタント・ビデオ、音楽など、アマゾンが提供しているサービスを楽しめるだけでなく、他のスマホに見られない独自の機能を搭載している。
特筆すべきは、Fireflyという機能だ。スマホ本体にある「Fireflyボタン」を押し、付属カメラで写したモノを認識することができる。全体像でなく、一部を写しただけでも認識できる場合もある。文字やホームページのURL、バーコード、電話番号、ゲーム、映画やテレビ番組など、認識できる範囲は広い。さらに、音楽を認識することもできる。街中などで流れてきた音楽を、スマホで簡単に調べることができる。
そしてもちろん、それらのものを、すぐにアマゾンで注文することができるようになっている。
●リアル店舗をアマゾンのショールームに変える?
従来、ネットで何かを購入する場合、商品名で検索し、目的のものを販売しているサイトから注文するという手順を踏んでいた。しかし、Firefly機能によって、商品名がわからなくてもボタン一つで目的のものを見つけ、発注することができるようになった。
最近では、現実の店舗で実物の製品を確認し、それをネットショップで購入する「ショールーミング」が、多くの店舗の悩みのタネとなっている。Fire Phoneの登場によって、よりショールーミングができるようになったといえ、小売店にとって厳しい状況が加速することになりそうだ。
アマゾンは「リアル店舗をなくすこと」をミッションとして掲げている。Fire Phoneは、そのための強力な武器として投入されたといえるだろう。
(文=一条真人/ITライター)