相次いで再燃した日本の領土問題、その背景を探る – APF BB News(8月22日)
領土問題が再燃している。この手のニュースを目にするたびに、『偶然とは何か 北欧神話で読む現代数学理論 全6章』(創元社/イーヴァル・エクランド著)の書き出しを思い出す。
「物事を、偶然の結果にもとづいて決定することは古くからおこなわれてきた。コイン投げ、じゃんけん、サイコロ、あみだくじなど、これらはすべて判断を偶然にゆだねている。そのような方法を、ここでは一括して『くじ引き(ドロー)』と呼ぼう。くじ引きは人類史上、多くの場面で重要な役割を果たしてきた。そのひとつに政治的な役割がある。西暦1020年、ノルウェーのオーラヴ・ハラルドソン王と、スウェーデンの王は、ヒーシングという離れ小島の所有権をめぐってサイコロによるくじ引きを行った」
「くじ引きで決めてしまえ」などとは言わない。それは、政治的な手法の問題や歴史観がどうとかいうことではない。まったく純粋に偶然に依存したくじ引きができる保証がないからである。簡単に言えば「フェア」な勝負にならない可能性があるからだ。
いい例がこちら。
「必ず勝つじゃんけんロボット」を東大が開発 – WIRED(6月29日)
「必ず勝つ」などというと、何かすごいロジックを編み出したかのように聞こえるが、種明かしは「後出しじゃんけん」。ただし、ロボットが超高速で後出しするので気がつかないというわけだ。どれぐらい「超高速」なのかというと、「ミリ秒(セカンド)」の速さだという。(開発者の東京大学・石川奥研究室のサイトhttp://www.k2.t.u-tokyo.ac.jp/fusion/Janken/index-j.htmlで確認できる。)
ロボットが人間相手に後出しじゃんけんをするのは、ミリ秒(セカンド)の速さで十分だが、株式取引の世界では遅い。ヘッジファンドなどで主流になっている「ハイ・フリークエンシー・トレーディング(HFT)」と呼ばれる取引手法は、証券の値動きを解析し、超高速の自動売買プログラム(アルゴリズム)による頻繁なトレードで利ざやを積み上げるものだ。これに対応するために、取引所は取引システムのスピード向上に余念がない。東証のシステムはやっとミリ秒以下になったが、海外の取引所に目をやれば、シンガポール証券取引所は0.074ミリ秒、ナスダックが0.098ミリ秒、ロンドン証券取引所は0.125ミリ秒と東証の10倍も速い。
ミリ秒の戦い…東証に勝算はあるのか – SankeiBiz(8月6日)
まあ、しかし、速くなれば速くなったで危険も伴う。スピードの出し過ぎで、自動車がカーブを曲がり切れずに事故を起こしてしまうようなものだ。