梶原雄太・降板騒動、上沼恵美子が公開パワハラで見せた“危険な症状”…本人に自覚なし
キングコングの梶原雄太さんが、レギュラー出演していた『快傑えみちゃんねる』(関西テレビ)と『上沼恵美子のこころ晴天』(ABCラジオ)を6月いっぱいで降板した。その背景に、6月26日放送の『快傑~』の収録時に上沼さんの“パワハラ”に近い“いじり”があったのではないかと「女性セブン」(7月16日号/小学館)で報じられた。
「女性セブン」によれば、この番組の約1時間の放送中、2カ月ぶりにスタジオに登場した梶原さんが話をしたのはたった70秒だったが、実はお蔵入りになったやり取りがあるようだ。上沼さんは「義理を欠いている」と梶原さんを責め、さらに「イラついてんねん。キミに!」と言い放ったらしい。そう言われて梶原さんは明らかに動揺した様子で、笑いも消え、涙目になり、「なんでこんなに嫌われたんやろ」と絞り出すように話したという。
この答えを見つけるのは難しい。何しろ上沼さんは梶原さんを息子のようにかわいがり、『快傑~』のレギュラーに抜擢したのも上沼さん自身らしい。梶原さんも上沼さんを恩人と慕っていたようなので、一体なぜ歯車が狂ったのかと首をかしげたくなる。
「かわいさ余って憎さ百倍」ということわざ通りのことが起きているようだが、そのきっかけになるのは、たいてい些細なことだ。「女性セブン」では、『快傑~』の構成作家を務める上沼さんの次男が、あまりに母親が梶原さんを評価することに嫉妬して梶原さんに関する悪評を広めたというテレビ局関係者の証言が紹介されているが、どこまで事実なのか、わからない。
“パワハラ”加害者は自己正当化しがち
私は上沼さんの大ファンである。上沼さんの関西での人気は絶大だし、ちゃんと人を見て的を射たことを言う能力に敬意を表している。だから、“ネット界の上沼恵美子”になるべく、観察力と分析力を養いながら毒舌に磨きをかけている。
ただ、今回「女性セブン」の取材に対して上沼さんが「本番中にきついこと言うのは愛です。ただ、梶原くんの返しがものすごく下手だったの。とりあえず、もう少し力をつけるべきでしたね」と答えたことに疑問を抱かずにはいられない。“パワハラ”加害者が口にする言葉に似ているからだ。
まず、きつい言葉で叱責し、ときには暴言を吐くことを「愛です」と正当化するのは“パワハラ”加害者の常套手段である。たとえば、部下の人格を否定するような言葉を投げつけながら、「これは君の成長のためだ。愛からやっている」と正当化する上司はどこにでもいるだろう。
また、「梶原くんの返しがものすごく下手だったの」と相手のせいにして責任転嫁するのも、パワハラ加害者がよく使う手だ。部下が「できないから」「力がないから」厳しい対応をしているのだと正当化すれば、罪悪感も自責の念も抱かずにすむからである。
このような自己正当化は、“パワハラ”加害者にしばしば認められる。そのため、“パワハラ”加害者の言い分は、被害者の主張とかなり異なっていることが少なくない。だが、加害者は必ずしも嘘をついているわけではない。嘘は、本人が意識してつくものだが、自己正当化は本人が自分を守るために無意識のうちにやってしまうものだからだ。嘘をついているという自覚がない分、自己正当化のほうが危険ともいえる。
とくに他人から善人と思われることを強く望み、体面や世間体のために人並み以上の努力を重ねる人は、自己正当化の達人であることが多い。そういう人が“パワハラ”加害者になると厄介だ。被害者の目には「平気で嘘をつく人」のように映っても、加害者本人には嘘をついているという自覚がまったくないからである。
上沼さんには、梶原さんに対する苛烈な“いじり”が“パワハラ”になりうるという自覚がなさそうに見える。あくまでも“愛のいじり”と思い込んでいそうだし、もちろん嘘をつているという自覚もないはずだ。
これだけ人気と実力を兼ね備え、大きな影響力を持つ“西の女帝”である上沼さんに歯止めをかけるのは至難の業だ。だから、梶原さんが局に自ら降板を申し出たのは賢明だと思う。YouTuberとしてデビューし、チャンネル登録者がいまや204万人を突破しているのだから、心身に不調をきたしかねないテレビやラジオの仕事にしがみつく必要はまったくないだろう。
(文=片田珠美/精神科医)