「実態はわかりませんが、そもそもそうした疑念を持たれる会合を場所前に開くことは慎むべきです。通常ではお互いが気を遣って遠慮するものです。そういう意味では、最高位の地位にまで上りつめた白鵬らの責任は重い気がします」(角界に詳しい記者)
白鵬といえば、取り組みでも、立ち合いでの張り手やかち上げが「横綱相撲」ではないとの批判もある。
「相撲ファンにしてみれば、正々堂々と他の力士の攻めを受け止めて、どこからでもかかってこいという感じで、相手をしっかり組み止めて最後に勝ってほしいでしょう。それが『横綱相撲』です。白鵬は体が柔軟なので横綱相撲を取れるはずです。最近は右からのかち上げが多いですが、本来は肘でお腹から胸のあたりを押し上げて、相手の上体を起こすのがかち上げです。白鵬の場合、明らかに初めから相手のあごをカウンター気味に狙っており、プロレス技のエルボースマッシュと同じ類いです。しかも、かち上げをやる相手はだいたい決まっており、同じモンゴル人力士には絶対やりません」(前出と別の記者)
白鵬は日頃の言動からも“横綱の品格”に欠けるといわれている。
「土俵上の振る舞いで白鵬と朝青龍はあまり変わらないといえます。おそらく大鵬の優勝記録を抜いて歴代1位になった2015年あたりから、歴代ナンバーワンになったのだからなんでも言えるんだという姿勢が出てしまっています」(同)
白鵬への処分問題
では、事件はこのまま日馬富士が書類送検されて一件落着となるのだろうか。
「12月20日に相撲協会の理事会がありますし、その前に横綱審議委員会も開かれる予定なので、そこでなんらかの結論が出て年内決着というかたちになると思います。ただ、横審が開かれるので、白鵬に関する見解が出れば、相撲協会としてもなんらかの処分を科す可能性はあるでしょう。
いずれにしろ、相撲協会の対応が後手後手に回ったこと、これまでの白鵬に関する対応が及び腰であったことは否めません。白鵬は一人横綱として日本の大相撲を支えたといわれますが、相撲協会が白鵬に対して毅然とした態度を取ってこなかったことが、ここまで白鵬の驕りを増長させた原因のひとつだと思うので、どこかで毅然としたところを示さないといけない。今まで何度も『厳重注意』を受けているが、今回は一場所で2回もそれに値する問題行為を行っているわけですよ。要するに頭を下げればいいと思っている。相撲協会は白鵬に舐められていると感じます」(前出と別の角界関係者)
今後の注目は、日馬富士が書類送検された後、貴乃花親方が相撲協会の事情聴取で何を語るかだ。貴乃花親方の証言によっては、来年の初場所が中止となりかねない事態に発展する可能性もある。
(文=兜森衛)