元横綱・日馬富士の暴行問題に揺れる大相撲の冬巡業が3日、長崎県大村市を皮切りにスタートした。九州各地を回り、17日の沖縄県宜野湾市まで12日間行われる。貴乃花巡業部長に代わり巡業の責任者となった春日野広報部長が力士に訓示を行い、土俵上でも相撲ファンに陳謝するなど、暴行問題への対応に追われた。
事件が起きた酒席には、白鵬らモンゴル出身の3人の横綱がいたが、日馬富士から暴行を受けた貴ノ岩は貴乃花親方の言いつけを守り、日頃から他部屋のモンゴル力士との交流を避け、先輩モンゴル力士相手でも常にガチンコ相撲で挑んできた。そんな貴ノ岩は、白鵬らにとって“目障り”な存在だったのではないかともいわれている。さらには、白鵬の“目配せ”がきっかけで日馬富士が暴行におよんだとも報じられているが、一連の事件をめぐる白鵬の責任について、角界関係者や記者たちはどのようにみているのだろうか。
まず、白鵬は先の九州場所で嘉風戦に敗れた後、審判員に執拗に抗議したことを受け、日本相撲協会から「厳重注意」を受けたが、この振る舞いについて角界関係者はこう厳しく批判する。
「自分で“待った”をかけたわけですが、ルールは知らないはずないので、あえてやったんだと思います。髷を結って土俵に上がっている以上は、伝統ある大相撲の力士であるという心を持ってもらわないと困るので、その意味でも『厳重注意』で終わったのは軽い気がします。もっと重い『出場停止』くらいの処分があってしかるべきではないでしょうか。それくらい重い行為です」
一部では事件の中心人物は白鵬ではないかとも報じられている。
「不思議なのは、日馬富士自身が十数発殴って、リモコンでも数発殴ったと本人が認めているわけですが、その間、止める時間は十分にあったと思います。ではその間、白鵬は傍観していたのでしょうか。白鵬は年齢的にも番付的にもその席でいちばん上ですから、白鵬が止めに入らないと下の者も止めづらいです。そこがもっとも大きな疑問です。自然に考えれば、白鵬は傍観していて、ある程度日馬富士の気持ちが収まってから、白鵬が割って入って日馬富士を外に出したのではないか。今後、警察の事情聴取によって真実が明らかになったのを受けて、相撲協会が白鵬にどのような処分を下すのかが注目されます」(同)
横綱として非常識
2011年に発覚した大相撲八百長事件では、親方と力士25人が引退勧告などを受けて相撲界を追放されたが、以前からモンゴル力士の間では「星回し」、つまり八百長が行われているのではないかという噂も絶えない。事件が起こった酒席には、それに応じない貴ノ岩に制裁を加える目的があったのではないかという報道もある。