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『おかえりモネ』で注目度急上昇、恒松祐里の魅力…『全裸監督』から朝ドラまで幅広い演技力

上杉純也/フリーライター
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「NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』公式サイト」より

 現在放送中の朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』(NHK総合)。“東京編”に突入してしばらく経つが、1人注目したいキャラクターがいる。

 清原果耶演じるヒロイン・永浦百音の幼馴染で、同級生の野村明日美である。気仙沼時代はあまり目立つことはなかったが、百音の上京後、その下宿先に転がり込んで一緒に住むなど、出番が大幅にアップ。ともすればシリアスな展開になりがちな本作だが、百音と違ってハキハキとしたキャラを武器に、要所要所で物語を明るく照らす太陽のような存在になっているのだ。

幼稚園の頃から芸歴スタート、転機は2015年

 今回は、この明日美を演じる恒松祐里の魅力について探っていきたい。

 恒松祐里は1998年10月9日生まれの現在22歳。若手女優ではあるが、意外と芸歴は長い。幼稚園児の頃、照れ屋な性格を心配した両親の勧めで受けたオーディションに合格したことが芸能活動の始まり。6歳だった2005年に放送された連続ドラマ『瑠璃の島』(日本テレビ系)で子役としてデビューした。

 だが、最初に注目を浴びたのは演技ではなかった。それは13年、夏の恒例番組『FNS27時間テレビ』(フジテレビ系)内の人気コーナー“さんま・中居の今夜も眠れない”でのこと。明石家さんまが、直近1年間で気になった女性を発表する“ラブメイト10”で、当時14歳だった彼女を第6位に選んだことで大反響を呼んだ。

 当然、まだ無名の少女で、業界内でも「あの子は誰だ」と噂になった。ちなみに、さんまとの関係は、FUNKY MONKEY BABYSのラストシングル『ありがとう』のPVに女子生徒役で登場し、共演したことによる。

 ちょうど同じ頃、恒松は自分なりに演技のコツがつかめてきたと述回している。オーディションでも褒められることが増え、最後まで残れるようになり、芝居が楽しくなってきたという。大きな自信になった作品の撮影も、この時期のこと。

 15年2月に公開された映画『くちびるに歌を』(アスミック・エース)で、女子中学生・仲村ナズナを好演。特に、新垣結衣演じる合唱部の顧問・柏木ユリからの「なんでそんなに合唱がんばれるの」という問いかけに対して、「ただ(合唱が)好きってだけじゃ、いかんとですか」と答える場面の存在感は圧巻だった。「いっぱい考えて考えて考えた結果、『ただ好きってだけじゃダメですか』っていう答えしか思い浮かばなかった」という演技が、実にリアルだったのである。

 この15年は、土屋太鳳がヒロインを務めた朝ドラ『まれ』にも出演。実は『おかえりモネ』よりも遥か以前に、すでにNHKの朝ドラに出演を果たしていたのだ。このときは第4週に登場し、桶作元治(田中泯)・文(田中裕子)夫婦の孫である友美役を演じている。

 さらに10月には連続ドラマ『5→9~私に恋したお坊さん~』(フジテレビ系)に主人公・桜庭潤子(石原さとみ)の妹・寧々役で出演。原作のネガティブなキャラクターとは違って、元気な女子高生だった。お姉ちゃんが大好きで応援したり、結婚をけしかけたりしたかと思えば、イケメン高校生にときめいたりと、ハツラツとした演技が実に印象的であった。潤子に鋭いツッコミを入れる場面もあるなど、仲の良い姉妹関係が描かれており、観るものに「こんな妹がいたらいいな」と思わせる好演を見せた。

 そしてこの15年を転機として、次々と話題のドラマに出演していくようになる。16年には大河ドラマ『真田丸』(NHK)で堺雅人演じる主人公・真田信繁の長女・すえ役を、18年には『もみ決して冬~わが家の問題なかったことに~』(日本テレビ系)で主人公・北沢秀作(山田涼介)の恋人である池江里子役を演じ、一躍注目を浴びている。

振り幅の広い演技が特長

 20年には『女子高生の無駄づかい』(テレビ朝日系)で、岡田結実演じる主人公・田中望(ニックネーム・バカ)の親友である菊池茜(ニックネーム・ヲタ)を好演。漫画家志望でBL(ボーイズラブ)が大好きな腐女子オタクだが、親友のバカには容赦なく突っ込むという“おいしい”役どころであった。

 また、同年は『100文字アイデアをドラマにした!』(テレビ東京系)で、地上波ドラマ初主演を果たした点もポイントだろう。

 今年に入ってからも、白濱亜嵐主演の『泣くな研修医』(テレビ朝日系)で医療系ドラマに本格的に挑戦。主人公・雨野隆治の研修医仲間である中園くるみ役を演じた。このくるみは優等生キャラでクール、何より負けん気が強くてドSという役柄で、強烈なインパクトを残したのである。

 映画でも『凪待ち』(キノフィルムズ)、『アイネクライネナハトムジーク』(ギャガ)、『シグナル100』(東映)、『スパイの妻 劇場版』(ビターズ・エンド)など、次々と話題作に出演。ヒロインの美波役を務めた『凪待ち』では“おおさかシネマフェスティバル2020”で見事、新人女優賞を受賞している。

 そしてなんといっても忘れてはならないのが、『全裸監督』(Netflix)の第2シリーズ出演だろう。『全裸監督』は“成人向けビデオの帝王”といわれた村西とおる監督の半生を描いたNetflix制作のネットドラマ。山田孝之主演で19年に第1シリーズが配信され、大ヒットを記録した。

 その第2シーズンが今年6月24日から配信を開始されたが、恒松はシーズン2のヒロイン・千葉ミユキを演じているのだ。この役は、のちに村西とおるの妻となるセクシー女優・乃木真梨子がモデルである。この作品で恒松は女性特有の色っぽさもある一方、少女のようなあどけなさと天真爛漫さが垣間見えるという絶妙な演技を披露した。

 こうして見てくると気づかされるのは、彼女は実にさまざまなキャラクターを器用に演じ分けられるということだ。『全裸監督』のような艶っぽい作品から爽やかな朝ドラまで、振り幅が広いのである。つまり、何もない真っ白な状態からそれぞれの役の個性をつかむのが抜群にうまいといえるだろうか。

 そんな彼女の真骨頂ともいえるのが、今年7月に発売された1st写真集『月刊 恒松祐里 優』(小学館)だ。この写真集は、長崎県五島列島の福江島と千葉県のレトロなラブホテルで撮影したものなのだが、前者は前述した映画『くちびるに歌を』のロケで約1カ月過ごし、自身が“第2の故郷”と呼んでいる場所。それだけに、表情もかなりリラックスしていて、開放感に溢れている。大人っぽい中にも清楚で品のある雰囲気を漂わせているのだ。

 逆に後者は『全裸監督 シーズン2』の時代設定に合わせたかのように、1980年代後半から90年代前半の世界観がテーマ。そこでセクシーな大人の女性の表情をみせている。まさに異なる表情を自在に操っているのである。

演技力に磨きをかけたキャリア

 こうした演技力は、子役からのキャリアの賜物ともいえる。7歳の頃からオーディションを受け続け、17歳の頃まで月に2回程度受けていたという。ざっと計算すると10年間で240回にも上る。キャリアに裏付けされた演技力があるからこそ、さまざまな役柄に対応できるのだ。

 そして『おかえりモネ』である。百音と菅波光太朗(坂口健太郎)の恋模様も気になるところだが、恒松演じる明日美にも何か新展開があるかもしれない。百音が勤務するウェザーエキスパーツの社員・内田衛(清水尋也)と連絡先を交換しているからだ。内田は控えめでオタクっぽく頼りない印象だが、実は気象予報士試験に一発合格した秀才である。その頭の良さに惚れ込んだ明日美が、持ち前の明るくチャキチャキとした性格でグイグイ迫っていく……なんていう展開も十分考えられるのだ。朝ドラは百音だけではなく、ぜひ恒松祐里演じる野村明日美にも注目していただきたい。

上杉純也/フリーライター

上杉純也/フリーライター

出版社、編集プロダクション勤務を経てフリーのライター兼編集者に。ドラマ、女優、アイドル、映画、バラエティ、野球など主にエンタメ系のジャンルを手掛ける。主な著作に『テレビドラマの仕事人たち』(KKベストセラーズ・共著)、『甲子園あるある(春のセンバツ編)』(オークラ出版)、『甲子園決勝 因縁の名勝負20』(トランスワールドジャパン株式会社)などがある。

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