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坂本浩一監督の最新作『妖獣奇譚ニンジャVSシャーク』 “最強の体育会系チーム”で挑んだ撮影現場を語る

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『ウルトラマン』や『仮面ライダー』など、数多くの特撮ヒーロー作品を世に送り出してきた坂本浩一監督。同氏が手がける最新作『妖獣奇譚ニンジャVSシャーク』が4月14日から公開される。コンプラが厳しいご時世もお構いなしに、バンバン人が惨殺されるスリル満載の本作。サメ、忍者、アクション、スプラッターなど、さまざまな要素を詰め込んだ制作の裏側を聞いた。

ーーこれまで特撮を多く手がけてきた坂本監督ですが、今作でサメと忍者を戦わせる設定を選んだのはなぜですか?

プロデューサーからのリクエストがあったんです。これまで忍者を扱う作品はいくつか手がけてきましたが、サメと戦うと聞いた時はビックリでした(笑)。今は配信によって世界中で作品を見ることができる時代です。今作のようなユニークな企画で海外マーケットに勝負に出る狙いですね。

今でも海外では忍者を題材にした映画は根強く人気なんです。海外は基本的に銃社会なので、『座頭市』や『子連れ狼』のように刀で斬りあって、体の部位が吹っ飛んだり、血が噴き出る描写が新鮮に感じるんだと思います。タランティーノ監督の『キル・ビル』は有名ですが、『13日の金曜日』などのスプラッターホラーも、日本の1960~70年代の時代劇の影響を受けていると思います。

忍者というジャンルに、いま人気のサメを掛け合わせることで、斬新さやユニークさが倍増されます。今作ではプロデューサーからも「どんどんスプラッター描写を入れてください」とGOサインが出たので(笑)、海外の人にもウケそうな迫力満点の映像を撮るぞ! と思いました。

ーー作中ではバンバン人が死んで、これでもかと血が飛び散って、とても爽快な作品でした。

ありがとうございます! 通常プロデューサーはレーティングや配給の問題などもあり、過激な描写を避けたがりますが、今作はまったく制限がなかったので、可能な限り血を飛ばしました(笑)。

自分は子供の頃から千葉真一さん主演の『影の軍団』シリーズをはじめとする時代劇が大好きでした。特に山田風太郎原作の『魔界転生』や『伊賀忍法帖』など、どこか怪しくておどろおどろしい雰囲気を醸し出している作品が好きで、今作にもその影響が出ていると思います。

自分は普段、子供向けの特撮作品を担当することが多いので、真逆の作品が作れるとワクワクしながら撮影していました(笑)。

ーー作品として工夫した点はどこですか?

基本的にアクション映画やスプラッター作品って、じっくり見るというよりは、ワイワイ楽しみながら観たいじゃないですか。なので、ジェットコースターのようなスピード感を出せたらと工夫しています。

ーー具体的にどのようにして、スピード感を出したのでしょう?

シーンにメリハリをつけてテンポよく展開させることですね。間をとる箇所と詰める箇所で緩急をつけたり、カメラアングルを変えながらリズムを作ったり、説明台詞にはそれを裏付ける映像をインサートしたりと、見てて飽きないように工夫しています。この作業は台本の打ち合わせの段階から考えて作業しています。

それから自分がスタントマン出身なので、アクションシーンのリズムにも毎回こだわっています。例えば剣戟(けんげき)アクションが一定のリズムで「カンカンカン」と進むと、単調で飽きてしまいます。ただ、そこに回転や蹴りなどの違うリズムのアクションを挟んでリズムを変えたり、回想シーンを挟んで登場人物に感情移入させたりすると、自然に画面に引き付けられます。今作では忍術を組み込むことにより、派手さを出したりと、見ていて気持ち良いリズムを探りました。

テンポにこだわるのは、ディズニーチャンネルで7年間プロデューサーをしていた経験が大きいと思います。アメリカはチャンネル数が多く、競争相手も多いので、子供たちが飽きないように、2分以上のシーンはできるだけ避けるなど、暗黙のルールがあるんです。「競争相手に打ち勝つためには常に新しい作品を提供しないといけない」という姿勢を学びました。

ーーかなり綿密に考えられている分、撮影する際は大変そうですね。

撮影自体は予定のスケジュールに収まってスムーズに進行しましたが、体力的には大変な現場でした。今作はほぼ千葉県で撮影したのですが、時代劇のため、周囲に近代的な人工物や建物がない所を選んだんです。車両から歩いて10~20分かけて現場に機材を運んだり、トイレへの移動も車だったりと、時代劇ならではの苦労はたくさんありました。

しかもキャストたちは、常に血のりが付いている状態です(笑)。最後のシーンでは全身ローションと血まみれになります(笑)。撮影後に近くの温泉施設に移動する時も、座席が汚れないように車内全部にビニールシートをかけていましたね。

ーー演者さんたちにとっても大変な現場でしたね。

そうなんです。今回はキャストの選定も一任されていたので、誰を采配しようか考えた時、もちろん役柄に合っていることは大前提として、体力のあるキャストを選びました。アクションシーンが多く、海や山などのアクセスの悪いロケーションも多いので、体力がないと厳しかった現場だったと思います。

ダブル主演の平野(宏周)くんや西銘(駿)くんに、ヒロインの(長野)じゅりあちゃん、(宮原)華音と、皆体育会系で、じゅりあちゃん以外は過去に特撮の現場でご一緒したこともあります。そういう意味でも今回は、“最強の体育会系チーム”になったと思います(笑)。撮影現場の仲間意識やチームワークは部活のような感じでしたね(笑)。

ーー坂本さん自身も、もともとはスタントマンとして体育会系なイメージがありますが、その頃の経験が生かされていると感じることはありますか?

スタントマンは、ケガのリスクや、時には生死をかける状況もあるので、現場に入るとアドレナリンがガンガン出るんです。自分も当時の癖で、現場に入るとアドレナリンが放出されるので、それが原動力になってテンション高くいられることですね(笑)。

アクションにもいろいろなスタイルがあり、自分は実際に相手に当てて表現するスタイルです。もちろん安全面はちゃんと考慮した範囲内です。キャストやスタントマンの必要な箇所にパットを仕込んで、可能な範囲で当ててもらうようにしています。

当てることにより、臨場感も出るので、映像にした時の迫力が段違いです。自分の師匠の倉田保昭先生もアクションの本場、香港で場数を踏んできたレジェンドです。先生からも、「お前が実践して見せないと説得力がないし、キャストもついて来ない」と教わりました。自分も50歳すぎになりましたが、老骨に鞭打って可能な限り実演するようにしています(笑)。

ーー1番大変なのは監督かもしれませんね(笑)。アクションでのこだわりはありますか?

今作では、ちゃんと太い血管が通っている首筋や急所を狙うなど、派手さを持たせつつもリアルな部分も表現するようにしました。

これまで多くの特撮を撮ってきましたが、ジャンルによってアクションの種類が全然違います。例えば、スーパー戦隊なら華麗に舞ったりアクロバット的な技を多用したり、仮面ライダーの場合は重量感のある打撃を重視したり。作品のテイストや視聴者層に合わせて、アクションの種類を変えているんです。

今作はR15指定作品かつ、海外展開を視野に入れての作品なので、どう相手を殺すかの表現を工夫しました。

ーーなるほど。映画としてはスケールの大きい作品になっていますが、裏では細かいこだわりもたくさんあるんですね。

そうですね。今作では、スプラッター描写は多いですが、エンターテインメント性を最重視しました。スプラッター描写がリアル過ぎると、観た後に後味が悪かったり、中には気分を害する人も出てくるかもしれません。そこをアクションやストーリー性で中和してもらえるよう努力しました。完成披露試写会では温かい拍手をたくさん頂いて少し安心しています(笑)。

あとはサメ映画なので、サメのCGにも注目してもらえたら嬉しいですね。通常のサメと超巨大サメで肌の質感を変えたり、これぞB級! といった演出もしているので、その辺りも楽しんでもらえたらと思います!

(取材・文=佐藤隼秀/ライター)

BusinessJournal編集部

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