相次ぐボーイング787機のトラブル エアラインの経営にも影響必至の懸念 ー ダイヤモンド・オンライン(1月17日)
787のトラブルによって各エアラインは機材繰りなどの対応に追われている。ANA、JALでは欠航が相次ぎ、海外の航空会社では損害賠償を求める動きも。だが、本記事によれば、この787機のトラブルは短期的な損害に終わらず、中長期の経営計画にも影響を及ぼしそうだ。
これまでの金属素材ではなく、カーボンファイバー複合材を全重量の50%に使用している787機。これによって燃費効率が20%以上向上し、中型機でありながら1万4000kmの航続距離となった。その結果、大型機では赤字になってしまうような長距離路線に787機が進出。ANAのシアトル、サンノゼ、JALのボストン、サンディエゴなど、一定のニーズがあるものの大型機を飛ばすほどではなかった路線が次々と開設された。
新路線の開拓によって、さらなる需要拡大を狙っていた航空会社。しかし、肝心の787機の失墜によって、新設路線の廃止、経営計画の修正に迫られるだろう。
ボーイング787の初期不良、日本の部品が原因というのは「濡れ衣」ではないのか? ー ニューズウィーク日本版(1月18日)
787機トラブルの原因として疑われているリチウムイオン電池。この電池を製造する日本の電池メーカー「GSユアサ」には、国土交通省とアメリカ連邦航空局が立入検査に訪れ、原因を調査中だ。しかし、ジャーナリストの冷泉彰彦氏は「私見」と前置きしながら「世界最先端の技術を持っている」GSユアサを擁護する。
GSユアサは部品メーカーとしてボーイングに電池を納入しているわけではなく、フランスのタレス社がその間を取り持っている。そして、電池と航空機電源のマネジメントをするシステムはこのタレス社が製造している。だが、このタレス社もまた、フランスの宇宙航空・防衛に関する技術を扱う国策会社であり、そのシステムには厳格な管理がなされている。
そこで、冷泉氏の推測する原因は「ボーイングによる最終組立における、配線のミス」だ。ハイテクな航空機であっても、その配線は手作業で行われる。推測の域は出ないものの、ユナイテッド航空に納入された787機からはすでに配線ミスが見つかっており、その可能性はゼロではない。世界最高峰の電池とシステムを使った夢の翼が「ヒューマンエラー」によって失墜したのだとしたら、あまりにもお粗末過ぎる。
米ボーイング2012年の航空機納入は601機、エアバス上回り首位に ー ロイター(1月4日)
787機のトラブルが表面化する前には、こんな輝かしいニュースも流れていた。
これまで、ライバルのエアバス社に航空機納入数で10年にわたって差を付けられていたボーイング社。12年は、エアバス社の588機を抜き去る601機を納入し堂々の首位に返り咲いた。主力小型機である737を415機、787も46機を納入し、11年の477機から大幅増となったボーイング社。本記事にコメントを寄せる商用機部門マーケティング担当幹部は「生産システムが非常に良く機能した」と自信満々だが、まさかこの数日後にこんな事態が待っているとは、夢にも思わなかっただろう。