プロキシとは、インターネット接続時に利用者の「代理」となって通信を中継するシステムです。「Proxy」を直訳すると「代理」や「代わり」という意味になります。一般的には、クライアントからWebサーバーへのアクセス時に通信を代行する「フォワードプロキシ」を指すケースが多いです。
プロキシは、利用者とWebサーバーの間に立ってデータのやり取りを仲介します。プロキシの利用には、以下のようなメリットがあります。
・利用者の情報を秘匿し、匿名性を高められる
・キャッシュ機能によって通信速度の改善が見込める
・マルウェア対策によってセキュリティリスクを軽減できる
プロキシサーバーを経由してWebサイトにアクセスすると、接続元の個人情報を秘匿できます。利用者に代わって、プロキシサーバーのIPアドレスでWebサーバーに接続されるからです。
つまり、プロキシを利用すれば接続元が特定されづらくなり、高い匿名性が担保されるのです。匿名性の担保により、個人情報を目的とするサイバー攻撃から狙われるリスクを未然に防げます。また、悪意あるサイト運営者による個人情報の搾取の予防も可能です。
また、プロキシサーバーのキャッシュ機能を活用すれば、Webサイトの表示速度を高速化できます。キャッシュとは、以前に訪問したWebページの情報を一時的に保管しておく仕組みです。
通常はクライアントからWebサイトに直接アクセスするため、データを毎回やり取りする必要があります。しかし、プロキシのキャッシュ機能を利用すれば、2回目以降のアクセス時にはプロキシからデータを受け取るだけで済みます。プロキシを経由すれば通信経路が短縮され、結果としてWebサイトの表示速度が向上するのです。
さらに、プロキシサーバーでウイルスチェックを行えば、マルウェアの脅威からクライアントを守れます。通常はWebサイトから直接マルウェアに感染するリスクがありますが、プロキシを利用すれば事前に脅威を除去できるからです。
クライアントにセキュリティソフトを導入するのが基本ですが、プロキシ側でもスクリーニングすれば多層防御が実現できます。万が一、マルウェアが社内ネットワークに侵入しても、プロキシの段階で阻止できる可能性があります。プロキシを使ってセキュリティ対策を強化し、安心・安全なインターネット利用を実現しましょう。
プロキシの仕組みと種類
プロキシの種類は、役割・配置・匿名性の3つで分類されます。
役割での分類には、フォワードプロキシ・リバースプロキシの2種類があります。フォワードプロキシは、クライアントのネットワーク上に配置されます。インターネット上ではフォワードプロキシがクライアントに見える一方、クライアント側からはインターネットに見えます。フォワードプロキシによって、クライアントのIPアドレスや個人情報が隠蔽され、アクセス制限の回避などが可能です。
もうひとつのリバースプロキシは、Webサーバーのネットワーク上に配置されます。クライアントからのリクエストはリバースプロキシで受け付けられ、Webサーバーはプロキシサーバーをクライアントだと認識します。リバースプロキシは、「Webサーバーの負荷分散」「SSL/TLSの終端」「キャッシュによる高速化」を実現できるのが特徴です。なお、「SSL/TLSの終端」とはSSL通信などによって暗号化された内容を復号化するための処理を指します。
プロキシサーバーがどこに配置されているかによって、分類されるケースもあります。レジデンシャルプロキシは利用者の居住地に基づくIPアドレスを使用するため、自然なアクセス元に見えるのが特徴です。データ収集や地域制限コンテンツへのアクセスなどに、レジデンシャルプロキシは適しています。ただし、価格相場は高めで定期的な更新が求められます。
モバイルプロキシとは、スマートフォンなどのモバイルデバイスのネットワークを利用する仕組みです。モバイルIPアドレス経由で通信するため高い匿名性が期待でき、特定地域からのアクセス制限を回避できます。ソーシャルメディアマーケティングやモバイル向けアプリのテストに、モバイルプロキシは有効です。
データセンタープロキシは、専用サーバーを使うため価格が安いのがメリットになります。ただし、同じIPアドレスを共有する場合も多いため、ブロックされやすいのがデメリットです。
プロキシサーバーは、提供する匿名性のレベルによっても分類できます。透過型プロキシは、利用者のIPアドレスを隠さずにそのまま通信を中継するタイプです。利用者は、プロキシの使用をを意識せずに利用できるのが大きな特徴です。ただし、Webサーバーには利用者のIPアドレスが見えるため、匿名性のレベルは低く一般的なプロキシのイメージとは異なります。
匿名プロキシは利用者のIPアドレスこそ秘匿しますが、ブラウザの種類・言語設定・OSの情報などは開示するケースがあります。IPアドレスからは個人を特定されづらいものの、ほかの情報から絞り込みができるため匿名性のレベルは中程度です。
高匿名性プロキシは利用者のIPアドレスだけでなく、OSやブラウザなどの特定情報も秘匿します。IPアドレスとデバイス情報の両方が隠蔽されるため、利用者の活動を追跡するのは非常に困難です。
歪曲プロキシはWebサーバーに対して偽のIPアドレスを提供し、利用者の情報を隠蔽します。歪曲プロキシの設定次第で匿名性のレベルは変動しますが、中~高レベルの匿名性が期待できると言えます。
ローテーションプロキシとはプロキシプールを使用し、通信ごとにランダムなIPアドレスへ切り替える仕組みです。短時間に大量のリクエストを送信する際に、IPアドレスの切り替えにより検知を回避しながら作業を行えます。プール内のIPアドレス数と切り替え頻度によって匿名性は変化しますが、適切な設定により中~高レベルを実現可能です。
状況に応じて適切なプロキシを選択すれば、リスクを最小限に抑えつつ効果的に匿名性を高められます。プロキシの特性を理解し、上手に活用して安全・安心なインターネット環境を構築しましょう。。
プロキシの使い方・設定方法
次に、プロキシサーバーの設定方法を具体的に見ていきましょう。OSやブラウザごとに手順が異なるため、自分の環境に合わせて設定を行ってください。
たとえば、Windows10でプロキシを自動的に設定する手順は、以下のとおりです。
1.設定画面から「ネットワークとインターネット」→「プロキシ」の順にクリック
2.「自動構成スクリプトを使う」をオンにし、スクリプトアドレスを入力
3.「保存」をクリックして設定完了
Windows10で手動でプロキシを設定する場合は、以下の手順を踏みます。
1.スタートメニューから「設定」→「ネットワークとインターネット」→「プロキシ」を選択
2.「手動プロキシセットアップ」欄の「プロキシサーバーを使う」をオンにする
3.アドレスとポート番号を入力して「保存」をクリック
プロキシを正しく設定すれば、プライバシー保護と快適なインターネット体験の両立が可能です。プロキシを上手に活用し、プライバシーの保護・インターネットセキュリティの強化を実現しましょう。
※本稿はインフォメーションです。