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強すぎる大阪桐蔭、春夏連覇を阻止できる高校は?仙台育英、近江の勝機は?

文=上杉純也/フリーライター
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強すぎる大阪桐蔭、春夏連覇を阻止できる高校は?
阪神甲子園球場(「Wikipedia」より)

 大阪桐蔭高校が強い。強すぎる。

 現在開催中の夏の甲子園、第104回全国高校野球選手権大会は、ついにベスト8が出揃ったが、なかでも圧倒的な強さを誇っているのが、史上3度目の春夏連覇を狙う大阪桐蔭だ。

 ここまでの3試合で、打っては29得点、守っては3失点と盤石の勝ちっぷりを見せている。特に攻撃陣では、2回戦の聖望学園高校(埼玉)戦で25安打19得点。3番の松尾汐恩が2打席連続ホームランを放つなど、その実力はまさに“銀河系軍団”と呼ぶに相応しい。これまでの戦いぶりから、優勝に死角なしの様相を呈しているが、残り7校の中からそんな最強軍団を倒せるチームはないのか、探ってみたい。

 その前に、まずは近年の大阪桐蔭の公式戦での敗退を振り返ってみよう。2020年秋の近畿大会決勝で智弁学園高校(奈良)に3-7。21年春の選抜1回戦で同じく智弁学園に6-8。同年夏の選手権2回戦で近江高校(滋賀)に4-6。そして最後は今春の近畿大会決勝で智弁和歌山高校に2-3。

 このうち、最初を除き相手チームはいずれも継投策をとっている(智弁学園と近江はともに2人、智弁和歌山はなんと4人もの投手をつぎ込んだ)。さらに、最後に投げた投手が速球を武器にしている点が共通しているのだ。

 つまり、大阪桐蔭を倒すには超強力打線を抑え込み、僅差の試合に持ち込めるほどの複数投手を擁し、後半に速球系の投手が控えているチームが、勝機を見いだす条件になると考えられるのだ。この条件に当てはめてみると、浮上してくるチームが3校ある。

下関国際は先発予定の古賀康誠がカギか

 まずは準々決勝での対戦が決まっている下関国際高校(山口)だ。最速147キロの大型左腕・古賀康誠と、普段はショートを守る背番号6の右腕・仲井慎というプロ注目のダブルエースを中心とする投手陣は、ここまでの2試合で失点わずかに3。特に3回戦の浜田高校(島根)戦で先発した古賀は、重い球質の140キロを超える直球とスライダーを武器に6回2死までノーヒット。結果的に1安打されたものの、6回を投げて被安打1、6奪三振と完璧な投球で浜田打線を押さえ込んでいる。

 一方の仲井は、切れの良いフォームから140キロ台後半の速球と見極めが難しい縦のスライダーが武器。浜田には1失点を許したが、初戦の富島高校(宮崎)戦では3回3分の1をパーフェクトに抑えている。打っても2試合で25安打14得点。本塁打こそないものの、強力打線で高い攻撃力を誇っている。

 大阪桐蔭は今春のセンバツ(選抜高等学校野球大会)1回戦で左腕エース・冨田遼弥擁する鳴門高校(徳島)相手に1-3と苦戦。先日の3回戦の二松学舎大学付属高校(東東京)戦でも、途中から登板した背番号11の左腕・布施東海相手に4回3分の1で無得点、4安打に抑えられているように若干、左腕を苦手としている。

 先発が予想される古賀は、まさに左腕。初戦で5回3分の2を投げ、与四球5だったが、続く浜田戦は6回で与えた四球はわずか1つ。調子が上がってきていることがわかる。早い回に下関国際打線が先制点を取り、中盤までリードを保てれば、右腕の仲井へリレー出来る理想の展開が待っている。面白い試合になりそうだ。

投手層が厚い仙台育英

 2校目と3校目に名が挙がるのが、準々決勝の第1試合で激突する仙台育英高校(宮城)と愛知工業大学名電高校(愛知)だ。この両校はどちらが勝っても“打倒・大阪桐蔭”を狙えるチームである。

 まず仙台育英だが、投手層の厚さという点では大阪桐蔭に匹敵するものがある。実績抜群のプロ注目の最速145キロ左腕古川翼を筆頭に、左腕の斎藤蓉、2年生右腕の高橋煌稀と湯田統真、そして2年生左腕の仁田陽翔と、ベンチ入りした投手がすべて140キロ以上をマーク。スケールの大きい投手陣を形成している。

 特に初戦の鳥取県立鳥取商業高校戦では、この5投手全員が登板し、見事な完封リレー。しかも相手打線に許したヒットはわずか2本で、14三振を奪う圧巻の投球内容だった。続く明秀学園日立高校(茨城)戦は自慢の投手陣が10安打を浴び4失点を喫したものの、4番手で登板した高橋が3回を無失点と好投し、チームの逆転劇を呼び込んでいる。

 打線は今大会、ここまでの2試合で25安打、15得点。スイングスピードが速い打者が多く、好投手相手でも力負けしない。そこに機動力を絡め、着実に得点を重ねていくのが特徴だ。特に明秀日立戦ではプロ注目の両投手・最速140キロ左腕の石川ケニーと最速142キロ右腕の猪俣駿太を攻略しているだけに、大阪桐蔭と対戦した際は攻撃陣の粘り強い打撃で得点を重ね、その上で強力投手陣をつぎ込みたいところだ。

 この春の近畿大会で智弁和歌山が大阪桐蔭を倒した試合では、先発が3回、2番手と3番手がそれぞれ1回、そして最後に投げたプロ注目の二刀流・武元一輝が4回を、わずか3安打、無失点に抑える好投をみせている。二遊間を中心に守備も堅い仙台育英なら、この試合の再現が十分狙えるとみている。

愛工大名電は打ち負けない打撃力が魅力

 愛工大名電も投手陣の顔触れが豊富だ。その中心となるのが、球威抜群の直球を投げ込む最速147キロ左腕の有馬伽久、本格派右腕の山田空暉、中日ドラゴンズのクローザーとして活躍した岩瀬仁紀を父に持つ岩瀬法樹の3人。

 ここまでの3試合で、失点は先発した有馬が23回3分の1を投げて喫した9点のみ。2回戦の八戸学院光星(青森)戦での5失点が気がかりだが、続く明豊高校(大分)戦では9回を被安打6の2失点完投。強打の相手打線相手に粘り強い投球を展開したことで復調気配とみる。逆に岩瀬&山田のリリーフコンビは計4回3分の2を投げて無失点。安定した投球を続けている点は心強い。

 一方の攻撃陣は、愛知大会で準々決勝までの4試合すべてでコールド勝ちするなど、打率4割超えの選手が6人並ぶ打線にスキはなく、下位からも得点を狙えるほど切れ目がない。初戦の星稜高校(石川)との試合で、プロ注目の好投手・マーガード真偉輝キアンに2回途中までに7安打を浴びせ10点を取った破壊力は相手チームにとって脅威。

 なかでも4番の山田、5番を打つエース左腕の有馬が、ここまでそれぞれ9打数5安打、11打数6安打と絶好調だ。特に山田は3回戦の明豊戦で先制の犠飛を放つと、その後の3打席すべてで出塁し、4番の存在感を示した。守っても伊藤基佑と市橋昂士の二遊間コンビを筆頭にハイレベル。走攻守すべてにおいてスケールの大きさがこのチームの最大の魅力。大阪桐蔭相手に多少の失点は許しても、打って取り返せるとみる。先発の左腕・有馬が中盤まで最少失点でしのげば、岩瀬―山田のリレーで逃げ切りたい。

近江はエース山田を万全の態勢で送り出せるか

 最後にどうしても名前を挙げたいチームがある。昨夏ベスト4で、今春のセンバツ準優勝の近江高校(滋賀)だ。最速149キロを誇る絶対的エース・山田陽翔の存在感が圧倒的。速球以外にも、直球と同じような球筋から鋭く曲がるカットボールは一級品。ここまでの3試合で24回を投げ失点6、奪三振は34を数えている。打っても4番を任され、3回戦の海星高校(長崎)との試合では試合を決める満塁ホームランを放った。山田以外の攻撃力も春からレベルアップしている点も見逃せない。

 ただ、山田に次ぐ投手陣が一気にレベルダウンする点は、大きな弱点となっている。大阪桐蔭と対戦することになるのは準決勝以降。そこまで疲弊させずに万全の状態で山田をマウンドに送りたい。

 結論として大阪桐蔭が負けるとすれば、準々決勝で下関国際、準決勝で近江、決勝戦で愛工大名電対仙台育英の勝者、と相次いで対戦するというパターンなのではないだろうか。

上杉純也/フリーライター

上杉純也/フリーライター

出版社、編集プロダクション勤務を経てフリーのライター兼編集者に。ドラマ、女優、アイドル、映画、バラエティ、野球など主にエンタメ系のジャンルを手掛ける。主な著作に『テレビドラマの仕事人たち』(KKベストセラーズ・共著)、『甲子園あるある(春のセンバツ編)』(オークラ出版)、『甲子園決勝 因縁の名勝負20』(トランスワールドジャパン株式会社)などがある。

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