FacebookのザッカーバーグCEO。
(「ウィキペディア」より)
こうした動きがなぜ要注意か? というと、日本にも同じ動きが出てくる可能性が高いことと、事実、特許はグローバルなものなので、アメリカが日本企業にも特許を主張することが考えられるからです。これらは、今のところキャッシュリッチなアメリカ企業同士のやり取りですが、同様の要求がキャッシュ保有高の少ない日本企業に課されたら、たまったものではありません。
特許侵害やそれを防ぐためのライセンスや特許の売買、さらには必要な特許を保有する企業の買収まで、アメリカでは当たり前の出来事ですが、一挙に脚光を浴びたのが、AOLが行った同社特許のオークションです。
Microsoft trumps Amazon, others for AOL patents – REUTERS(4月9日)
ロイターがその様子を生々しく伝えています。オークションにかけられた特許は、AOLの新旧ビジネスを支えるもので、買収したNetscapeやICQ、MapQuestから、CompuServe、Advertising.comに至るまで、数々の企業が所有していた特許を含みます。本記事によれば、AOLのCEO・Tim Armstrongが MicrosoftのCEO・Steve Ballmerに、特許を売りに出す旨の電話をした模様です(よくこういった大きなビジネスの場合、アメリカでは「電話した」と報道されますが、本当に電話なのかな……インターネット企業ですが、やはり重要マターは電話? 代表番号にかけるのかな……)。ロイターによれば、オークション参加社はMicrosoftのほか、Amazon、eBay、Google、Facebookです。
ちなみにAOLのTim Armstrongは、Googleアメリカ部門の元社長だった人物で(ギタリストではありません)、彼がAOLに移籍した2009年、AOLのオペレーションはかなりどうしようもなくなっていた時期です。ひそかに彼を応援していた私も、株主から突き上げられる彼に同情を禁じ得ませんでした。しかし、突然の秘策にはハイテク業界みんなびっくりという状態です。そして、株価は一挙に40%上昇。
Facebook Paying Microsoft $550 Million to Get Its Hands on Hundreds of Former AOL Patents – All Things D(4月23日)
Facebook Said to Bid for AOL Patents Before Microsoft’s Win – Bloomberg(4月20日)
最も4月23日の報道によると、FacebookがMicrosoftから600以上の特許取得のため、5億5000万ドルを支払うことで合意したそうです。この特許の中には、というより多くの特許には、MicrosoftがAOLより取得したものが含まれています。Facebookは、やはりAOLに対して特許の取得のためにアプローチしていましたが、価格面でMicrosoftに負けたために、直接AOLからではなく、Microsoftから同じ特許を買う羽目になったということです。MicrosoftがAOLより取得した特許数は約800で、そのうち重要と思われないものでFacebookが興味を示したものを売却した模様です。