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結局どうなる? ギリシャ問題を分析

ギリシャのユーロ離脱がありえない、これだけのワケ

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ユーロ危機もいずれギリシャ神話になる?(「Thinkstock」より)

 ギリシャ問題が再び不透明感を増している。連立政権樹立が暗礁に乗り上げ、6月の再選挙が決定的になったことで、ギリシャの「ユーロ脱退」が信憑性を持って語られ始めている。果たして、ギリシャはユーロから脱退するのだろうか。

「ユーロ」はEU(欧州連合)の経済通貨同盟で用いられている単一通貨だ。適用除外となっている英国とデンマークを除き、EU加盟国では、すべての国にこの通貨の導入が義務付けられている。EUに加盟しなくとも、ユーロだけを導入することもできる。現在、23カ国に導入されており、このうち17カ国がEU加盟国だ。

 では、ギリシャはこれから離脱できるのかと言えば、実はユーロには離脱規定がない。しかし、離脱できないわけではない。ギリシャがEUを脱退することで、ユーロからの離脱は可能になる。だが、結論から言えば、ギリシャがユーロ=EUから離脱する可能性はほぼゼロに近いだろう。その理由をいくつか挙げてみよう。

 まず、ユーロから離脱するということは、ギリシャは新通貨に切り替えることになる。そもそもギリシャ経済に対して信頼性が低いため、新通貨の価値は非常に低いものとなる。

 現在、ギリシャ国民はユーロで預金を行っているわけで、そのユーロが紙くず同然となるかもしれない新通貨に切り替わることを望まない。当然、預金を引き出し、ドルや円、あるいは金などに避難させようとするだろう。

 これに対して、ギリシャ政府は預金凍結措置を取るだろうが、それ以前に、例えばユーロ離脱の話が真実味を帯びた時点で、パニック的な預金解約が発生する。ギリシャ全土の銀行で"取り付け騒ぎ"が起き、銀行が破綻し、ギリシャ経済も完全に破綻する可能性がある。これは、決して悪夢ではない。

 仮に、離脱がうまくいったとしても、新たな通貨(例えば、新ドラクマ)の価値は大きく毀損するだろう。それまで、1ユーロで買えた卵が、5億新ドラクマでも購入できないようなハイパーインフレが発生する可能性がある。

 また、現在のギリシャ政府の債務の90%超が対外債務のため、その返済には新通貨ではなく、ユーロでの返済を迫られよう。当然、返済される側から見れば、価値の低い新ドラクマを受け取るよりも、ユーロやドルで返済を受ける方が良いに決まっている。通貨切り替えをしたギリシャ政府には、ユーロやドルを調達する能力がなくなっているだろうから、この問題がギリシャの財政を破綻させる引き金になるかもしれない。