(実業之日本社)
「2020年までに太陽光発電で1億kW、風力・地熱発電で5000万kW」
11年5月の「自然エネルギー協議会」設立に向けた記者会見で、ソフトバンク・孫社長はこんな目標をぶち上げた。東京電力管内にある192カ所の発電所の総出力はおよそ6500万kW。それをはるかに上回る1億kWという数字は、これまでの電力業界の常識を覆すものだ。
過去にインターネットや携帯電話事業で数々の革命を遂げてきた孫社長だが、エネルギー業界で果たしてそんな革命が本当に可能なのだろうか?
震災以降、10億円余りの私財を投じ「自然エネルギー財団」や「自然エネルギー協議会」などの団体を設立してきた孫社長。国内外の有識者や、各自治体の首長などを巻き込んで、太陽光発電を中心としたクリーンエネルギーを積極的に推進することを表明している。
「11年9月に、かねてから孫氏が設立を表明していた『自然エネルギー財団』が正式に発足しました。これは、自然エネルギーの普及促進、政 策やビジネスモデルの提言、幅広いネットワーク作りを目的とした団体で、設立者・会長は、もちろん孫社長が就いています。また評議員には、アーティストの 坂本龍一氏や、東京大学名誉教授の神野直彦氏、日本総合研究所理事長の寺島実郎氏など、環境問題に詳しい文化人や有識者が参画。さらに理事には小林武史 (apbank代表理事)の名前もありました。
今年2月には『再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)に対する提言』を行うなど、積極的に動き始めているようです」(環境系ライター)
さらに、これをソフトバンクの事業として実施するために、11年10月には新会社「SBエナジー」を設立、次世代エネルギーの普及に努めている。
だが一方で、そうした方針に対して各界から数々の疑問が投げかけられている。まずは一連の流れから見ていこう。