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人材データベース化、早くも「管理職」の定義で迷走中

社員36万人「ひとつの日立」計画にグループ会社から非難囂々

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社員36万人「ひとつの日立」計画にグループ会社から非難囂々の画像1嵐とV6の違いが、いまだによくわからない。
(「日立アプライアンスHP」より)
 世界市場で事業拡大を急ぐ日立製作所は、世界中の同社グループ会社約900社に勤める計36万人の社員情報をデータベース化し、会社や事業部の枠をこえて、プロジェクトごとに人材を適材適所に再配置するという壮大な計画を持っている。合言葉は「ひとつの日立」だが、社内外から「いくらなんでも大風呂敷を広げすぎ」と前途を憂う声が聞こえている。同社の人材育成の迷走ぶりについては、本サイトに掲載した「同業他社も呆れる…日立グローバル人材戦略の内実」(5月7日)でも取り上げているが、世界を股にかける戦略が掛け声倒れにならないか、同社社内からも不安の声が上がっている。

「とうていできるとは思えない」

 約1年前の2011年6月8日、多くの日本企業関係者の度肝を抜いたニュースが、日本経済新聞の一面に載った。「日立、900社の人事共有 グループ人材 世界の適所に」という記事がそれだ。読み進めると”実現すれば”素晴らしい文言が並んでいることに気がつく。

「11年度をめどに36万人いる従業員のデータベースをつくる」
「管理職以上の評価基準を統一する」
「グループ全体から機動的に人材を登用」

 これが実現すれば、例えばインド子会社のマネージャーが日本に移ったり、アメリカの社員がヨーロッパに異動したりという人事異動が円滑にできることになる。グローバル企業を目指す日立の本気度がうかがえるが、当時、この新聞記事を通じて内容を知った日立関係者は、「子会社の社長や役員レベルでもそんなことはできてない。そもそも、日立の業態からしてとうていできるとは思えない」と語っていた。

「日本の産業の縮図」。電機業界では日立をこう呼ぶ人が多い。電気シェーバーからテレビ、自動車部品、火力発電所まで、ありとあらゆる事業を手がけているからだ。「この木、なんの木」で知られる同社のテレビCMではグループ会社名が延々と流れるが、一度のCMですべてを流せないので、複数のパターンをつくっているほどである。

選択と集中がまったくできていないのでは?

 よくいえばなんでも揃っている、悪くいえば選択と集中がまったくできていないともいえる。原子力と半導体に選択と集中を図った永遠のライバル・東芝とは、実に対照的な姿である。それでも日立が総合電機の王様として君臨できたのは、個々の事業部門や子会社が独力で戦ってきたためだ。「『野武士の日立』と呼ばれるように、事業部やグループ会社は独立精神が旺盛。日立は、そうした企業群の事業複合体に過ぎない」(アナリスト)

 こうしたなか、日立が本体の求心力を高める戦略に転換したのは、09年3月期に7873億円という巨額赤字を計上したためだ。その後、半導体など赤字事業の整理に乗り出し、社会インフラ事業への原点回帰を打ち出した。だが、国内ではすでにインフラ事業が頭打ち。電力、社会システム、産業機器、情報通信などの事業複合体が世界に打って出るために、グループ人材の効率的活用が喫緊の課題として浮上したというわけだ。

BusinessJournal編集部

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