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出来レースは周知の事実!?

エルピーダ身売りの舞台裏

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post_178.jpg今日の電子機器に欠かせない半導体。(「Thinkistock」より)
 東京地裁は、会社更生手続き中の半導体大手・エルピーダーメモリがアメリカのマイクロン・テクノロジーから経営支援を受ける交渉に入ることを正式に許可した。エルピーダ側は8月21日までに地裁に提出する更生計画案に、マイクロンによる支援策を盛り込む。

 エルピーダの争奪戦には一時、東芝や韓国SKハイニックスが参戦。米中ファンド連合も伏兵として現れ、激しい駆け引きが演じられた。だが、舞台裏を追うと、支援企業は最初からマイクロンに決まっていた出来レースだったことがわかる。

 身売り劇の主役は、社長の坂本幸雄氏(64)。出来レースを可能にしたのは、2009年から導入されたDIP型と呼ばれる新しい会社更生手続きだった。DIPとはDebtor In Possessionの略で「占有継続債務者」と訳されている。破綻企業の経営陣が退陣せず、更生計画に関与するのが最大の特徴である。

 会社更生法では、旧経営陣は総退陣し、裁判所から任命された管財人が再建計画を策定、裁判所から認可を受けた後に実行に移していた。これだと1年以上の時間を要するため、その間に企業の資産が劣化し,経営状態がますます悪化してしまう。DIP型なら、その企業を熟知した経営陣が更生計画を立てるので、認可までの期間が6カ月程度で済む。破綻した企業の再建をスピードアップするために導入された。

 DIP型では,破綻した企業の社長が管財人になる。要するに一人二役である。管財人は、支援企業の選定に大きな影響力を持つ。もし、公平性など微塵もない人物が管財人になれば、スポンサー選びは意のままだ。その悪しきケースが,エルピーダの身売りだと言っていいかもしれない。

 エルピーダの坂本社長は、経営破綻する前からDIP型を活用して、マイクロンに売却するシナリオを描いていた節がある。エルピーダが会社更生法の適用を申請したのは,今年2月27日。負債総額は4480億円。その直前から不可解な動きを見せる。

 2月23日に、返済期限の近づいた融資の3カ月間の繰り延べを銀行団に求め、自力での事業継続への意欲を見せていた。それなのに翌日には、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、みずほコーポレート銀行、住友信託銀行(現・三井住友信託銀行)の4行の口座から突如、250億円の預金を引き出し、取引がなかったりそな銀行に移し替えた。経営破綻した場合、融資と預金が相殺されないようにするための措置だ。資金をしっかり確保した上で、正式に通告することもなく、27日には更生法の申請に踏み切った。銀行には寝耳に水な話で、「計画倒産」と憤った向きもある。

 更生法に持ち込んだ狙いは、はっきりしている。倒産したのに、坂本氏は社長を続投したのだ。申請代理人を務めた小林信明弁護士は、留任の理由をこう述べた。

BusinessJournal編集部

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