ともいわれる村上世彰。『村上世彰
「私の挑戦」』(あさ出版/板垣英憲)
まず、前回の宿題です。
「人生では成功経験、失敗経験の両方とも大切ですが、相場の世界ではどちらかのほうが大切だと僕は思っています。どちらでしょうか?」
「人生では成功経験、失敗経験の両方とも大切」と書きましたが、50年以上生きてきて、人生ではどちらかというと、成功経験のほうが大切かなと思います。失敗を糧に伸びる強さを持っている人は、多くはないと思いますし、やはり「自分はすごいんだ」という成功経験をバネに、伸びる人が多いでしょう。
僕自身子どもの頃、勉強では社会科だけは常にトップでした。小学校3年生のとき、当時は切手収集がブームで僕も集めていました。切手には「国宝」「祭り」「花」など、それぞれのテーマの写真を切手にしたシリーズ切手もありますが、その中に「国立公園シリーズ」というものがあります。日本中の国立公園の写真を切手にしたものですが、いつの間にかすべての国立公園を暗記してしまいました。そのことを担任の先生にいうと、「じゃあ、言ってごらん」というので、すべて言いました。担任は「岡本君、すごいぞ!」とほめてくれまして、それに自信を持って、以降、学生時代は社会科の成績だけは常にトップでした。もっと頭と才能があったなら、その自信で他の教科もできるようになったと思いますが、頭も才能もなかったので、他の教科は並でした。しかし、凡才の僕でもほめられて自信を持てば、何かができると証明したといえるでしょう。
ですから、お子さんをお持ちのお父さん、お母さん。お子さんをほめてあげてください。ただし、やることを押しつけないでください。子どもの好きなもの、興味があるものは何かを見抜く。好きで興味があるものなら、うまくいくことが多いでしょう。それをほめてあげる。子どもさん、そこから何かが芽生えていくと思いますよ。
おっ……「この講座って子育ての講座ではなく、株の講座なんじゃないの?」なんていう声が聞こえてきました(笑)。でも、学生時代、授業があっち行ったり、こっち行ったり寄り道の多い教師がいましたでしょ。僕もそうです(笑)。今後も寄り道が多い講座と覚悟しておいてください。でも、これも株の経験話とつながっていくんですよ。
白板に書いた外出先がバレて株価が上がる!?
さて、冒頭の「株式市場の世界では、成功経験と失敗経験のどちらが大切か?」ですが、結論をいえば、失敗経験のほうが役立ったと断言できます。逆に成功経験が足を引っ張るケースも多いのです。んっ? 岡本さんに株の成功経験があるんですかって? 約30年いた世界ですよ。少しはあります(笑)。
例えば、新興市場の世界。若かりし頃、証券専門紙「市場新聞社」の記者時代、直属の上司に「いずれ店頭市場が脚光を浴びる時代が来る。今、店頭企業を歩いている記者はいない。今から歩いておいたほうがいい」といわれ、店頭企業を取材するようになりました。店頭市場は今ではジャスダック市場となり、当時使われていなかった新興市場・銘柄という言葉はポピュラーになりました。