<朝日新聞出版/6月8日号>)
問題の発言は、「週刊朝日」(朝日新聞出版/6月8日号)の対談コーナー「養生達人 健康問答」に掲載されている。ここでナベツネは、医師・帯津良一氏と対談し、健康問題、死生観、宗教観などを語っているが、大好きな喫煙に関する発言で口を滑らせた。ナベツネの発言はこうだ。
「僕は一度禁煙したことあるんだよ。会社の役員会で6カ月禁煙できるかどうかで一人1万円ずつ賭けをした。それで結局6カ月できて、10数万円もうけた」
平たく読み解けば、読売新聞の役員が、あろうことか役員会で賭博をやろうじゃないかという話題になり、実際に金銭の授受が行われたことになる。掛け金が少額の場合は立件される可能性が低いという実態はあるのだろうが、誌面を通して堂々と語れる話ではないのは明らか。いまさらではあるが、ナベツネのトンデモぶりを知らしめてしまった。ある読売新聞記者も呆れる。
「役員がこぞってそれに便乗したっていうんですから、読売全体の品性が疑われますよ。賭けをした時期は明示してませんが、時効は来ているんでしょうかね。だとしても、報道機関として、他社のコンプライアンス云々を言えた義理ではなくなりますよ」
ある雑誌編集者は、次のような見解を述べる。
「通常、インタビューや対談などで違法行為やそれに近いことを明かした場合は、編集者が気を利かせて削るはずなんです。ただ、掲載媒体が、ライバル紙傘下の『週刊朝日』でしょ。ちょっと確信犯的な感じがしてしまうのは、気のせいでしょうか」
ちなみに、この対談でナベツネは「政治部長になるまでは」と断りながら、「週刊新潮」(新潮社)、「週刊現代」(講談社)、「アサヒ芸能」(徳間書店)、「文藝春秋」「週刊文春」(共に文藝春秋)にアルバイト原稿を書いていたことまでカミングアウトしてしまっている。
「つまり読売新聞の名刺で仕入れた情報を、他社に漏洩して、利益を得ていたわけですよね。現在の訴訟相手である元巨人代表の清武英利氏のことをとやかく言える立場ではないということです」(前出の読売新聞記者)
ご老人のたわごとと片付けるには、あまりにも不謹慎な”読売役員会の賭博行為”。読売新聞は、もうこの人をあまり外に出さないほうがいいのではないか。
(文=編集部)