目が節穴のお嬢さまにも勧めなきゃ!?(「同社HP」より)
正確には、CMで宣伝をしている保険に入り、さらに「先進医療が受けられる」という特約を契約するというかたちで、販売されている。例えば、アメリカンホーム保険では月額104円、アフラックでは同99円という金額に設定されている。
同時に、先進医療について数百万円かかるケースがあることを紹介。先進医療の特約がいかに割安であるかを強調しつつ、CM全体としては、保険に入った人(=主契約をした人)への優遇として、先進医療特約に100円で入れる、というニュアンスが感じられる。
しかし実態を見ると、それほどお得な保険および特約であるとは言い難いのだ。やや乱暴だが、おそらく100円くらいが妥当な金額ではないだろうか。
そもそも「先進医療」とは、臨床試験などで効果があることが判明しているが、まだ健康保険の対象とするには症例が不足している治療方法のことである。厚生労働省によって定められており、その内容は同省ホームページで見ることが可能だ。
健康保険の適用外であるため、個人で受けようとすると莫大な治療費をとられることもある。しかし、実際に先進医療を受ける人は非常に少ない。例えば、生命保険文化センターが発表している直近のデータを見ても、2009年7月から10年6月までの1年間で9775人となっている。日本の総人口を1億2000万人とすると、0.0081%の確率となる。統計的に見れば、先進医療を現実に受ける人はほとんどいないといえるのだ。
しかも、先進医療の中には、CMでもアピールしているように、がんに対する重粒子線医療など300万円以上するものもあるが、1万円しないものもある。莫大な医療費がかかるものに限定すると、受診する確率はさらに1桁小さくなるだろう。つまり、この保険は見掛けほどお得ではないのである。
ネット生保は、大手生保商品の半額のものも!
さて、ここまでの解説だけ読むと、CMで紹介されている保険の”個別攻撃”みたいになっているが、それが目的ではない。言いたいのは、すべての保険商品は確率に基づいて設計されている、ということである。発生する確率が高いことを保障する保険は価格が高くなるし、発生確率が低いことを保障するものは安くなる――これが保険の鉄則なのである。こうした観点で、医療保険や生命保険の必要度をチェックしていこう。
よく、日本人は保険が好きだと言われるが、デフレがずっと続いているせいか、昔のように安心だけを求めて、価格がバカ高い保険商品に入る人は少なくなっているようだ。加えて、インターネットだけで割安な生命保険商品を販売する「ネット生保」が登場したことで、消費者の選択肢が広がり、シンプルな安い保険に入る人が多くなった。