「マナリス」氏(@manarisu9475)はX(旧Twitter)で11万人のフォロワーを有し、毎日すき家に通い続けるインフルエンサーとして知られる。投稿を見ると、確かに毎日通い続けているようだが、特筆すべき点は同氏が会計でメルカリポイントを消費しているものの一向にポイントは減らず、むしろ増え続けている点だ。つまり「無限すき家」を達成したことになる。いかにしてポイントを貯めてきたのだろうか。そして、なぜ他の飲食店や家電量販店でも使えるにもかかわらず、メルカリポイントをすき家で使い続けるのだろうか。今回、マナリス氏に取材を行い、ポイントを増やした方法とすき家に通い続けるモチベーションについて聞いた。
メルカリの招待だけでポイントを貯める
マナリス氏は2019年9月1日以降、毎日すき家に通い続けている。Xでは、その日にすき家で使ったポイントの支出入と残高が毎日欠かさず投稿されており、8月28日の時点でメルカリポイントの残高は172万3450円にもおよぶ。同氏がポイントを貯める手法として使っているのは、招待コードを使った方法ただ1つだ。メルカリではユーザーが招待コードを知人に提供し、知人がそのコードを入力して新規会員登録をするとユーザーと知人の両者に500円分のポイントが付与されるシステムがある。マナリス氏はこのシステムを活用し、自身の招待コードをXに投稿することでポイントを得ているのだ。招待コードを使ってメルカリに登録するユーザーが増えるごとにマナリス氏にもポイントが入る仕組みである。
とはいえ普通に招待コードを投稿していただけではポイ活目的と認識され、現在のように注目を浴びなかっただろう。同氏は19年9月1日に招待コードを載せた最初の投稿を行った際、「集まった金額なくなるまですき家でメシ食います」とツイートしたのだが、この宣言が注目を浴びたのである。当初は2、3人程度登録してくれたら良いなという気持ちで始めたようだが、予想以上にフォロワーが増えてしまい、すき家で食事し続けなければいけない日々が始まった。最初の投稿以降、マナリス氏は宣言通り毎日欠かさず、すき家で食べ続けている。ちなみにすき家を選んだ理由は「単に職場に近かったから」と同氏はいう。
メディアで取り上げられ、ポイントがさらに貯まる
21年までは招待ポイントが入らない日もあったため残高は1~2万円台を推移し、フォロワー数も2万人程度だった。いつかは残高がゼロになるだろうとマナリス氏は思っていた。しかし、メディアに取り上げられたことでフォロワーとポイント残高が急激に増えることになる。22年にテレビ朝日の『激レアさんを連れてきた。』に出演した際はフォロワーが3万人も増えた。また、マナリス氏をとりあげたネット記事「ねとらぼ」がYahoo!トップに掲載された際は、同氏の招待コードも記載されていたためか10万ポイントも貯まってしまったという。インフルエンサーになってからは終わりが見えなくなってしまったそうだ。そして今年8月のメルカード新規登録キャンペーンでは3000円という招待ポイントが注目されてか、1日で226人もの登録者が集まってしまい、ポイント残高は100万円から170万円台へと一気に増えた。
すき家に通い続ける理由
マナリス氏がすき家に通い続けられる理由について聞いてみた。
「すき家に通い続けるモチベーションは、ポイントを使い切るという最初の宣言を守る義務感から生じています。ですが、私をすき家に通わせ続けたいフォロワーの意地もあり、日々ポイントが追加されてしまい、意地の張り合いになっています。ビールやうな丼を選ぶことで1食2,000円以上にして宣言達成を早めることも可能ですが、あえて高価なものを選ぶようなことをせず、普通に食べたいものだけを選ぶようにしています。ちなみにコロナに罹患してしまった際もウーバーイーツを活用し、欠かさずすき家を食べ続けました」
しかし、毎日すき家を食べ続けて飽きないのだろうか。
「すき家には牛丼だけでなく定食や海鮮丼もあり、食事のバリエーションが多いため飽きません。朝食も充実しているほか、一時期は麺類を提供していたこともあり、選択肢の幅は一般家庭の食事と変わりません。最もきつかったのは、宣言してから100日が経った頃で、すき家の食事というよりは、どうしても米がダメになってしまいました。牛丼の豊富なトッピングを活用してチーズの上におろし大根をのせたり、チーズとキムチを組み合わせてピザ風味を再現したりと、あり得ない方法で味変を図りましたが、どれも美味しくはありませんでした。その後、150日目から普通のメニューに戻してからは、すき家にすっかり慣れてしまい、飽きはまったく感じません」(同)
実は肉より魚派、一番好きなのは「とりそぼろ丼」
今までで一番多く食べたメニューを聞いたところ、やはり種類の多い牛丼だという。しかし当のマナリス氏、実は肉派よりも魚派。さっぱりめの料理を好んでおり、すき家で一番好きなメニューは牛丼ではなく「とりそぼろ丼」だという。
「かつおやサバなどで出汁をとっているため旨味が凝縮されており、牛丼に代わるすき家の看板メニューにしても良いのではないでしょうか」(同)
通い続けるためのモチベーションの維持にもつながっているのか、同氏の投稿を見ると牛丼が続いた日をまたいで定期的に「とりそぼろ丼」が現れる。最後にマナリス氏にとっての「すき家の魅力」について聞いてみた。
「すき家は牛丼のトッピングの種類が豊富なほか、毎月新作が出るなど、客を飽きさせないための工夫に優れています。特にトッピングの数は牛丼チェーンのなかでもダントツで、自分にとっての『好き』を見つけられることもすき家の魅力です」(同)
それぞれの好きを見つけ、それを共有することもできる。確かにすき家ファンには豊富なトッピングを楽しむ者も多い。これまでを振り返ると確かに途中で飽きたこともあったが、やはり最初にすき家を選んでよかったと本人は感じているようだ。マナリス氏にとっての「無限すき家」の日々は今後も続くことだろう。
(文=永田理瑠/ライター、協力=マナリス)
●永田理瑠(ながた さとる)/ライター
経済、社会、街歩きの記事を執筆するライター。資料調査や専門家への取材に基づいた記事、街歩き系の記事を執筆する。趣味は散歩・カメラ。