多忙を極めるビジネスパーソンにとって、牛丼チェーンは素早く、手軽に食事を摂ることができる場所。看板メニューである牛丼を頼むという人は多いだろうが、意外にも注目してほしいのがモーニング限定の定食メニューだ。ごはん、味噌汁はもちろんのこと、牛皿などの小鉢や生野菜サラダ、メニューによっては目玉焼きやハムが付くなどボリューム溢れる内容になっていることが多い。肉、卵といった食材からたんぱく質、またサラダからは野菜の栄養素を摂取できるので、朝から栄養バランスを意識して食事をとることができるのである。しかも400~500円台とリーズナブルな価格のため、財布にも優しい。
そんな牛丼チェーンのモーニング定食だが、牛丼3大チェーンと呼ばれる吉野家、すき家、松屋の間で微妙にその内容や価格が異なっている。そこで今回は、牛丼チェーンのモーニング定食を実際に注文し、どういったセットなのかを紹介しつつ、料理の味やコスパの高さなど忖度なしでレビューしていく。
なおチェーンの間でまったく同じ内容のメニューがなかったため、今回は下記の項目が共通して揃えられているメニューを選出して比較した。
・ごはん
・味噌汁
・牛皿
・目玉焼き
・ハム、ベーコン、ソーセージの豚肉類
・生野菜サラダ
吉野家「ハムエッグ牛小鉢定食」(税込536円)/一番普通…「ごはん」がおかわり無料
はじめに紹介するのが、吉野家の「ハムエッグ牛小鉢定食」(税込536円)だ。ごはん、味噌汁、牛皿、生野菜サラダ、ハムエッグが並べられており、オーソドックスな見た目。価格は536円と3チェーン中、最も高く設定されているが、見た目からはさほどゴージャスさは感じられない。ちなみに味噌汁は143円で「とん汁」、121円で「しじみ汁」「あさり汁」へと変更可能である。
味噌汁は、ポッドでお湯を入れるインスタント式のようであり、具材も小ねぎのみ。飲んでみると、塩気が強く、味噌や出汁の味わいは薄めだった。生野菜サラダは、千切りにされたキャベツ、にんじんの上にコーンが乗せられたもので、付属のマヨドレッシングをかけて食べる。コーンはプチプチとしていて甘く、キャベツと野菜はシャキシャキと瑞々しい食感をしていた。
目玉焼きは写真だとわかりづらいが、絶妙な半熟だったのが嬉しいポイント。薄くカットされたハムも程よい塩気であり、ごはんのおかずにぴったり。ただ予め調理してあるものなのか、提供直後であるにもかかわらず、やや冷えていたのが残念であった。
総評すると、「もう一歩」と感じる料理が多かったものの、ごくごく普通の定食メニューといった印象。ただ吉野家の定食メニューは「ごはん」のおかわりが何杯でも無料なので、朝からがっつり食べたい人にとっては、ぴったりなチェーンといえる。
なおカロリーは642kcal。農林水産省が定める成人男性が一日に必要なカロリーを2000kcalとし、それを朝昼晩ごとに分割すると1食あたり約667kcalになるので、だいたいちょうどいいぐらいのカロリーといえる。たんぱく質も24.0gと厚生労働省の定める推奨量である65gを踏まえると、朝分としては程良い値かもしれない。
ほかにも焼き鮭メインの「焼魚定食」(税込499円)、納豆と生卵が付いた「納豆定食」(税込399円)もあるので、その日の気分に合わせて注文を変えてみてもいいだろう。
すき家「牛小鉢ベーコンエッグ朝食」(税込450円)/一番ボリューミーでコスパ最強?
次は、すき家の「牛小鉢ベーコンエッグ朝食」(税込450円、並盛)を紹介。吉野家に比べると品数が幾分か多い。ごはん、味噌汁、牛皿、目玉焼きはそのままに、ひじき煮、味付け海苔、ベーコン、レタスのサラダが追加されている。味噌汁は100円プラスで「とん汁」に変更可能である。
味噌汁はねぎのほかに、油揚げ、わかめが入っており、吉野家に比べより具材は豊富。出汁もすっきりとしつつも深みがあり、かつ味噌の香ばしさも感じられる味わいだ。磯の香りが漂うひじき煮の味付けは、あっさりとした甘い味付けで箸休めとして最適。なお季節によって味付けが変わるらしい。
またベーコンは自社製らしく、塩気がちょうど良く、クセなくスモーキーに仕上がっているので非常に食べやすい。そして、隣にあるレタスを巻き、ドレッシングをフレンチ、和風、胡麻のなかから選んでかけるのもおすすめの食べ方。ドレッシングの旨味にさわやかなレタスとジューシーなベーコンが合わさって、クセになる味わいへと変化するのだ。
目玉焼きは専用の「たまごかけしょうゆ」が一緒に届けられるので、そちらをかけていただく。甘じょっぱくコクのある味わいがプラスされるので、単調な味にならず、より深みのある目玉焼きを楽しめた。
今回調査したなかでは一番具材が多く、食後の満足度がもっとも高かったメニューだった。なお「ごはん」のおかわりは不可でサイズによって料金も変わるので注意が必要。カロリーは並盛で820kcal、たんぱく質は29.2g。先述した推奨量を踏まえると朝からこの値は、少し摂りすぎといえるかもしれない。
すき家には、ほかにも、たまごかけ定食である「たまかけ定食」(税込280円、並盛)、オクラ、温泉卵、かつお節の乗った「牛まぜのっけ朝食」(税込350円、並盛)などバラエティ豊かな定食がたくさん。ラインアップの多さも、すき家ならではの特徴か。
松屋「ソーセージエッグ定食」(税込420円)/リーズナブル価格で小鉢も選べてよし
最後に松屋の「ソーセージエッグ定食」(税込420円)を紹介する。本定食では小鉢が牛皿、納豆(ネギ付)、国産とろろ、ミニカレーのなかから選択することができるのが嬉しい。今回は牛皿を選択したが、気分によって変えられるのはありがたいポイントだ。
具材にはおしんこ、ソーセージが新しく加わっている。余談だが、3店舗を比較してみるとハム、ベーコン、ソーセージと各社とも見事に目玉焼きに付く具材が異なっていたことに気づいた。食べたい具材によって店を選ぶ参考にしてみてほしい。
味噌汁は3店舗のなかで一番味噌の香りが効いており、飲みごたえのある仕上がり。ソーセージは、皮がパリパリに焼かれており、噛むとパリッと音が鳴った。中からはジューシーな肉汁があふれ出ており、噛めば噛むほど肉の旨味を堪能できた。おしんこも酸味と塩気のバランスが良く、コリコリとした食感。牛肉やソーセージの合間に食べて口の中をリフレッシュさせるのに適しているだろう。
価格は420円と3チェーンのなかで最も安価なので、とにかく安さを求めたい場合は松屋へと足を運ぶといいだろう。カロリーは606kcal、たんぱく質は18.2gと低めであり、先述した朝の摂取分には届かないものの、栄養バランス的にはちょうど良い塩梅といえる。なお松屋では味噌汁を豚汁に変更したい場合、30円プラスして「豚汁朝定食」(税込450円)が注文できる。ほかにも「牛小鉢朝定食」(税込350円)というメニューもあった。
ちなみに3品とも各社のこだわりのたれで煮込まれた牛肉が少し盛られている。甘く醤油と出汁の効いたたれに牛肉がマッチしているので、どんどん「ごはん」が進むだろう。朝に牛肉は重いと思うかもしれないが、少量しかないので食べやすいボリュームとなっている。
リサーチした結果、各チェーンにはそれぞれ異なる特徴があると判明した。今回の結果をまとめると、「ごはん」のボリュームを求めるなら吉野家、豊富な具材を楽しみたいならすき家、リーズナブルに食べたい人は松屋という結論に落ち着いた。個人的な意見となるが、すき家が一番コスパ上々で、満足度も高いと感じた。牛丼チェーンでモーニング定食を食べたい人は、本記事を参考にしてもらえれば幸いである。
(取材・文=文月/A4studio)