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資産5億円あればラクに年利4%→年収2千万円で一生遊んで暮らせる?検証

文=Business Journal編集部、協力=志摩力男/トレーダー
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「gettyimages」より

 ここ数年、世間から関心を寄せられている「FIRE」。定年退職の年齢になる前に一定額の資産を築いて仕事をリタイアし、悠々自適に生活を送るという生き方だが、5億円くらいの資産があるお金持ちは資産運用でラクに年利4%程度稼いで、事実上の年収2000万円で一生遊んで暮らしているというネット上の投稿が、一部で話題を呼んでいる。果たして、5億円ほどの資産があれば運用で年2000万円程度を難なく得られるというのは事実なのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

 メディアではFIRE経験者の事例が紹介されることも多い。たとえば、19日付「ABEMA TIMES」記事『7割の人が望む「FIRE」 “資産3000万円で節約しながらのリタイア生活”は幸せ?』では、34歳で5500万円貯め早期退職したものの、生産性がない生活が原因で心を病み、再就職して1年ほどで退職し、資産が1億円を超えた今は再びFIRE生活を送っているという男性の事例が紹介されている。また、2021年10月5日付「東洋経済オンライン」記事『FIREを目指す人が知るべき「3つの不都合な真実」』では、資産1億円で38歳のときに退職して地方に移住したものの、3カ月くらいで飽きてしまい東京へ戻ることを考えているという男性の事例が紹介されている。

 FIREをするには、どれくらい資産があればよいのか。前出「東洋経済」記事で経営コンサルタントの日沖健氏は「『2%ルール』で年間支出の50倍の資産を用意するか、完全にリタイアせずセミリタイアで勤労収入を獲得するほうがまだ現実的です」と指南している。もし仮に夫婦で年1000万円の支出がある場合、5億円の資産が必要ということになる。

 また、23年6月7日付「ZUU online」記事『50歳で早期退職するには、いくらあれば会社を辞められる? 後悔しないためにすべきこと』によれば、平均的な給与を得ている共働きの夫婦2人が50歳で退職し平均的な金額の退職金を得て、65歳から年金を受給し始め、90歳まで生きる場合を想定した場合、約1500万円の資産があれば50歳で退職しても最低限の生活が送れるとしている。

米国債の30年債

 そして少し前には「5億円あれば年利4%年収2000万円で一生遊んで暮らせる」というネット上の投稿が一部で話題に。以下のような反応が寄せられている。

<2億でも節約して暮らせる>

<5000万あれば不労所得で200万は入るし、質素にすれば暮らしていける>

<5億あれば運用しなくても遊んで暮らせる>

 果たして、5億円ほどの資産の運用で年利4%相当の収入を得て生活していくというのは現実的なのか。ゴールドマン・サックス、ドイツ証券などの大手金融機関でプロップトレーダー(自己勘定トレーダー)を歴任し、現在もトレーダーとして活動する志摩力男氏はいう。

「資産運用には不安定要因があり、確実なことはいえませんが、高い確率で4%程度の利回りを達成しようとする場合、固定金利型の債券が選択肢となってくるでしょう。現在の日本の金利は低いので、そのような円建ての商品はありません。また、日本は土地の価格に比べて家賃が低いため、不動産運用でも4%程度のリターンを確実に望めるものは少ないと思います。

 現実的な方法の一つが米国の長期国債の購入です。米国債の30年債の利回りは概ね4.6%程度であり、利子をドルから日本円に戻すと所得税等で約20%かかるため、4.0%を少し下回る程度となります。なので、日本円に変えずにドルのままにして、思い切って米国に移住して年収2000万円で暮らすという選択肢もあるでしょう。今は円安なので、今後大きく円高に振れるリスクは存在しますが、それと同等レベルに円安リスクも存在しますし、むしろドルが上昇(=円安)する可能性のほうが高いという見方もあります」

目安は資産3億円

 では、資産がどれくらいあればFIREを検討してもよいのか。

「資産が数千万円程度では厳しいですし、逆に5億円というのは平均的な日本人の生涯年収を超えているので、資産が5億円あって暮らしていけないということは考えにくいです。一昔前は資産が1億円あれば運用で不安なく暮らしていけるといわれていましたが、現在ではインフレがあるので3億円くらいが目安になってくるのではないでしょうか。

 米国債以外に分散投資するとすれば、個別の高配当銘柄は検討してよいかもしれません。配当というのは、いつなくなるのか分からないものではあるものの、今では多くの企業が株主還元を意識しているので、高めの配当の銘柄を広く買っておくというのは、ありかもしれません。また、倒産リスクの低いグローバルな優良米国企業の社債のなかには、利回り6%を超える銘柄もあるので、そういうものを買うというのも考えてよいかもしれません。

 このほか、あえて不動産を検討するとすれば、利回りが確定しにくい面はあるものの、値下がりリスクが低いという意味では東京都心のマンションでしょうか。すでに価格が高い水準になっていますが、今後も価格が安定的に推移していくと考えられます。また、札幌や福岡など人口100万人以上の地方都市で注意深く場所を選んで購入するというのも手でしょう。

 いずれにしても、日本は今後インフレが進展すると予想されており、資産を現金のみで貯めているだけでは目減りしてしまうので、適度な資産運用を心掛けるべきです」(志摩氏)

(文=Business Journal編集部、協力=志摩力男/トレーダー)

志摩力男/トレーダー

志摩力男/トレーダー

慶応大学経済学部卒。ゴールドマン・サックス、ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダー、その後香港にてマクロヘッジファンドマネジャー。独立後も、世界各地の有力トレーダーと交流し、現在も現役トレーダーとして活躍。市場参加者の動向やヘッジファンドの動き、外資系トレーダー等の動きは、メルマガ志摩力男のグローバルFXトレード!で詳しく配信中。
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