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スキャンダルから業界再編へ

どこが買収するのか? 2つに割れた大王製紙

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そんなに"潤"を推されてもなぁ。「王子製紙」HPより

 カジノに消えた106億円――。"ティッシュ御曹司"によるカジノ賭博での巨額損失が、ついに大王製紙の分裂をもたらした。


 創業家3代目、井川意高(もとたか)前会長(47)によるカジノ代金(=損失)の巨額借り入れ事件を機に、経営陣は「脱創業家」を決断。創業家が保有する関連会社の株式の買い取りを要求した。だが、創業家は関連会社の経営陣を入れ替え、支配を強化。こうして、血で血を洗う関連子会社の争奪戦に突入した。


 大王製紙は37社あった連結子会社が19社に半減。創業家は18社を支配下に置き、結果として現経営陣と創業家が支配する2つの大王製紙が並び立つこととなった。


 5月18日に発表した前期(12年3月期)連結決算は、最終損益が53億円の赤字だった。特別背任罪に問われた意高前会長への融資に対する貸倒引当金の計上が響き、2期連続の最終赤字となった。売上高は前期に比べて0.3%減の4089億円、営業利益は21.6%減の104億円。連結子会社が事件前の37社から19社に減少したことがモロに響いた。


 分裂劇の主役は2人。現経営陣側は佐光正義社長(56)。創価大学4期生で、熱心な学会員であることは広く知られている。創業家側は前会長の父親である井川高雄元顧問(74)。エリエール・ティッシユの生みの親で、中興の祖と呼ばれている。


 高雄元顧問が、息子の意高会長が社長だった当時、子会社からカジノ代を借りていたことを知ったのは昨年3月2日。激怒した高雄氏は、意高社長を更迭して会長にタナ上げ。後任社長に"創業家の番頭"といわれた佐光氏を指名した。カジノに溺れた息子のスキャンダルが発覚しても、創業家を守ってくれるだろう、との思惑があった。


 だが、事件は表沙汰となり、大王の外部調査委員会が11年10月に発表した調査報告書は「創業家に絶対服従する企業風土」が事件の原因と断定した。創業家が関連会社の株式の過半数を持って実質支配する、いびつな資本構造にメスを入れるべきだと指摘したことで、潮目は変わる。佐光社長は「創業家が(経営に)復帰することはない」と、創業家との決別を宣言したのだ。


 通常、親会社が50%以上の株式を保有する子会社を連結子会社とするが、大王は、そうではなかった。国内連結子会社35社(残る2社は海外)のうち、会社側が過半数の議決権を持っていたのは3社にすぎなかった。32社は創業家とそのファミリー企業が過半数の株式を握っていた。