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大王の前期(12年3月期)の連結決算によると、ティッシュや紙おむつ、生理用品などホーム&パーソナルケア部門の売り上げは1209億円。新聞用紙や段ボール原紙など含めた全売上高4089億円の3割弱を占める。大王は家庭紙の生産工場を失う危機に立たされたわけだ。
第3ラウンドは大王の経営陣の反撃で始まった。連結から外れたエリエールペーパーテックなどの工場がある静岡県富士宮市に用地を取得し、13年度上半期に「エリエール」の紙おむつなどの生産に直接、乗り出す。創業家が支配する工場を切り捨て、自前の生産体制の構築に動き出した。
大王が、経営側(=新聞用紙、段ボール原紙)と創業家側(=エリエールなど家庭紙)に分裂したことで、製紙業界に一気に再編気運が高まった。大王(現経営陣)が創業家が支配する生産工場を切り捨てれば、そこが格好の再編のターゲットになる。家庭紙部門で弱い、業界トップの王子製紙が「エリエール」を取りにいくという観測がある。レンゴーも、段ボール部門の買収に乗り出す可能性がある。
キーマンとなるのは三菱商事だろう。大王製紙、三菱製紙、北越紀州製紙(旧・北越製紙)を束ねて、三菱グループの製紙会社を誕生させる構想がある。06年に王子製紙が北越製紙に敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛けた時に、敵対した企業での大同団結だ。
経営側と創業家側が繰り広げてきた壮絶バトルの最終ラウンドの行きつく先は業界の再編か。痛み分けとなり、2つの大王製紙になった結果、標的となった。受け皿となるのは旧三井財閥系の王子製紙か、国内の段ボール再編を目指しているレンゴー(メインバンクは三井住友銀行)、はたまた旧三菱財閥の中核企業、三菱商事か。いずれにせよ、絵に描いたような”漁夫の利”を得ることになる。
(文=編集部)
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