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オリンパスのウッドフォード元社長は年俸1.3億円!

お騒がせ企業の役員報酬はいかほど?

文=編集部
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post_362.jpg『社長・重役報酬の正しい決め方』日本経営合理化協会出版局)
 2012年3月期決算企業で1億円以上の役員報酬を支払った企業が出揃った。東京商工リサーチの調査によると、6月29日現在、3月期決算企業2504社のうち役員報酬1億円以上を開示した企業は172社、開示した人数は295人。前年より社数で1社、人数は3人減った。

 役員報酬トップはカシオ計算機の樫尾俊雄元会長(故人)の13億3300万円。世界初の小型個人用電卓「カシオミニ」を開発した創業メンバーで、今年5月に87歳で死去した。基本報酬が1400万円、退職慰労金が13億1900万円。制度開始以来、初めて10億円超の人が出た。

 10年、11年と最高額だったカルロス・ゴーン日産自動車社長兼CEO(最高経営責任者)は9億8700万円で2位にとどまった。上位5人のうち、ゴーン氏以外は退職慰労金によるもの。上位に退職慰労金組が並ぶのは今年が初めてのことだ。

 巨額の退職慰労金が支払われながら、役員でないため個別開示されなかったのが大東建託の創業者で、元会長の多田勝美氏。11年6月の株主総会の決議に基づき30億3600万円の退職慰労金が支払われた。昨年は、6億4900万円の役員退職慰労引当金繰入額を計上して3位となった。その分を差し引いても多田氏が、実質的には歴代、トップとみていいだろう。

 では、お騒がせ企業の役員たちは、どのくらいの役員報酬を得ているのか?

 粉飾決算に揺れたオリンパスは、不正を告発したマイケル・ウッドフォード元社長の11年度の役員報酬が1億3907万円だったことを明らかにした。同社は社長を解任されたウッドフォード氏に1000万ポンド(12億4500万円)を支払うことで、英国の裁判所で和解した。和解の条件はウッドフォード氏が本来受け取るはずだった報酬の3年分を支払うという内容だったから、そうなると計算上、ウッドフォード氏の年俸は4億1500万円ということになる。

 オリンパスの”天皇”から一転して刑事被告人の身になった菊川剛・元会長の役員報酬は10年3月期が1億5800万円、11年同期は1億7500万円だった。ウッドフォード氏の役員報酬が、いかに突出しているかがわかる。

 野村ホールディングスのグループCEOの渡部賢一氏は1億2800万円。さすがに賞与&変動報酬分のストックオプション(自社株購入権)はゼロにした。グループCOO(最高執行責任者)の柴田拓美氏は1億1300万円。当然、賞与も同ストックオプションもなしである。渡部氏の前年の取り分は1億7200万円。ストックオプション分が6300万円、賞与が100万円。柴田氏は同1億5500万円で、ストックオプションが5600万円、賞与300万円だった。

 野村HDは前年5人いた1億円プレーヤーが「悪の2人組」と社内で陰口を叩かれている渡部氏と柴田氏だけとなった。インサイダーだ、業績悪化だと、これだけ騒がれているのに1億円の報酬をしっかりキープするあたり、ただ者ではない(誉めているわけではない)。

 さらにただ者でない点をあげれば、インサイダーについて、社外弁護士による社内調査の結果を株主総会までに公表しなかったこと。「わざと調査結果の公表を遅らせたのではないのか」との指摘が株主総会でもあった。「不祥事続きで株価が下落しているのに経営陣に危機感がない」のは野村だけではない。

 天下に厚顔無恥の強欲をさらけだしたのがソニーのハワード・ストリンガー・取締役会議長。前年の8億8200万円はどだい無理といわれてきたが、驚くべきことに4億円台を突破した。役員報酬は、基本報酬2億7700万円+ストックオプション分1億7250万円+フリンジベネフィット相当額及びそれに伴う所得税額の一部補填等1700万円、合計4億6650万円。CEOとして最後の4年間は赤字をタレ流して、12年3月期は4566億円の連結最終赤字と創業以来のワースト記録となった。これで4億6650万円は高すぎる。

 なお、ソニーはストリンガー氏の役員報酬を所得税の一部補填分(1700万円)を除いて、前年比48%減の4億4950万円と公表した。基本報酬は2億7700万円で前年比1800万円減っただけ。ストックオプションは株価の下落で理論的価値が下がり(ストリンガー氏自身の責任である)3億4550万円減った、と説明している。

 フリンジベネフィット相当額及びそれに伴う所得税額の一部補填等はストリンガー氏、平井一夫社長(役員報酬総額1億5460万円)、ニコール・セリグマン執行役(同1億5035万円)の3人に支払われている。

「アンシャンレジーム(ストリンガー時代の旧体制)の中でしか生きられない人」(幹部社員)と失望感が広がっている平井一夫社長(カズ)の”余禄”分は3900万円に急増した。妻子を米国に残して日本に単身赴任中のカズが、常宿にしているホテルのスイートルーム代との見方が出ているが、推測の域を出ない。なかでも会長をしていた子会社のソニーコンピュータエンタテインメントの分が300万円から3000万円と10倍になった。普通の上場企業トップの役員報酬に匹敵する役得を得ていたことになる。これではやらずぼったくりだ。

 ソニーの役員報酬を決めるのは報酬委員会。報酬委員会議長は、社外取締役で経営コンサルタントの安田隆二氏だ。一橋大学大学院の教授。ヤクルト本社の社外取締役、ふくおかフィナンシャルグループの社外取締役。朝日新聞社の監査役もやっている。こんな立派なお方(!)が、ストリンガー氏の役員報酬は「不当に高いものではない」ことを説明するのに四苦八苦していた。不当に高いことは誰の目にも明らかだからである。会社に大損害を与えた人物に高額報酬を支払うことを、日本語では 「盗人(ぬすびと)に追い銭(おいせん)」という。
(文=編集部)

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