3月期決算の上場企業2469社のうち、27日午後4時までに2038社が有価証券報告書を提出。150社、273人が1億円以上の報酬を受け取っていた。2年連続して個別開示された167人のうち、119人が13年3月期に比べ役員報酬が増え、新たに報酬が1億円を超えた人が106人に上った。昨年の開示人数は301人だったが、企業業績の好転を背景に1億円プレーヤーの数が昨年を上回ることはほぼ確実になった。
14年3月期の役員報酬額2位はカシオ計算機の樫尾和雄社長で12億3300万円(前期は開示なし)、3位は同社の樫尾幸雄特別別顧問の10億8300万円(同)。和雄氏、幸雄氏ともに創業家の出身で、大半が退職慰労金だ。同社の会長を11年に退いた故・樫尾俊雄氏の12年3月期分の報酬13億3300万円が、これまでの最高。
13年3月期の最高額は日産自動車のカルロス・ゴーン社長(9億8800万円)だったが、今回は5位(9億9500万円)に転落した。それでもトヨタ自動車の豊田章男社長(2億3000万円)の4倍以上だ。日産の株主総会では株主から「ゴーン社長の報酬は日本企業の中では高い」との声が出たが、ゴーン氏は「日産はグローバル企業であり、世界的な競合他社に比べると高くない」と反論した。
三菱電機は1億円超えが18人
役員報酬1億円以上の人数は三菱電機が18人(前期は1人)と突出した。12年3月期のファナックの14人を抜き、10年3月期から始まった現行の開示制度で過去最多となった。2位の三井物産は8人(同4人)と倍増。3位は野村ホールディングスの7人(同5人)とトヨタの7人(同3人)で同数だった。また、個別の報酬を開示した150社のうち13年3月期は個別開示がなく、14年3月期に開示した企業が31社あった。
三菱電機は7期ぶりに純利益が最高となったことで業績連動報酬が増加した。山西健一郎会長は業績連動報酬が1億円増で役員報酬は総額2億円。17人の執行役員も6000万円の業績連動報酬が上乗せされて1億円プレーヤーの仲間入りを果たしたが、報酬額が突出することを嫌う三菱グループ内では、早くも波紋が広がりそうだ。
【14年3月期 役員報酬開示人数(6月27日、東京商工リサーチ発表)】
※以下、順位、企業名、業種、人数(前年度人数)
1位:三菱電機、電機、18人(1人)
2位:三井物産、商社、8人(4人)
3位:野村ホールディングス、証券、7人(5人)
4位:トヨタ自動車、自動車、7人(3人)
5位:大和証券グループ本社、証券、6人(5人)
6位:日産自動車、自動車、5人(6人)
【同 役員報酬ランキング(同)】
※以下、順位、企業名、氏名(役職)、報酬額(前年度報酬額)
1位:キョウデン、橋本浩(最高顧問)、12億9200万円(非公開)
2位:カシオ計算機、樫尾和雄(社長)、12億3300万円(非公開)
3位:カシオ計算機、樫尾幸雄(特別顧問)、10億8300万円(非公開)
4位:武田薬品工業、フランク・モリッヒ(元取締役)、10億1600万円(7億6200万円)
5位:日産自動車、カルロス・ゴーン(社長)、9億9500万円(9億8800万円)
6位:ミスミグループ本社、三枝匡(取締役会議長)、9億円(3億1600万円)
7位:フジッコ、山岸八郎(名誉会長)、8億4700万円(非公開)
8位:武田薬品工業、山田忠孝(取締役)、8億3800万円(7億1200万円)
9位:ユニバーサルエンターテインメント、岡田和生(会長)、8億1000万円(3億6400万円)
10位:日本調剤、三津原博(社長)、6億7700万円(5億9000万円)
(文=編集部)