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業界再編に取り残される中堅海運は淘汰へ

"政治銘柄"三光汽船が2度目の経営破綻

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ちょっとかっこいい。(「三光汽船株式会社」HPより)
 往年の"政治銘柄"三光汽船(東京・千代田区、松井毅社長)は7月2日、東京地裁に会社更生法の適用を申請した。負債総額は1558億円。私的整理の一つである事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)を申請して再建を目指してから、わずか3カ月半。一体、何があったのか。

 同社は85年8月、この当時としては戦後最大・最悪の5200億円の負債を抱えて会社更生法を申請しており、2度目の経営破綻となる。一度目の更生法申請後は、従業員の削減と船舶の売却などの合理化を進め98年2月、更生計画を9年繰り上げて債務を完済して、更生手続きを終結した。

 外航海上運送会社として三国間輸送に重点に置き、中国経済の拡大による鉄鉱石輸送拡大の恩恵を受け、08年3月期の売上高は2293億円となった。海運大手3社(日本郵船、商船三井、川崎汽船)に続く中堅規模の海運会社となり、東証への再上場を検討していた。

 しかし、リーマン・ショックに端を発した世界的な経済環境の悪化を受け、取扱数量・単価ともに下落。再び経営危機に陥った。11年3月期の売上高は1255億円にとどまり、157億円の最終赤字。12年同期の売上高は996億円にまで落ち込み、純損失は1104億円に膨れ上がった。

 資金繰りに窮したため、3月9日、船主、造船所、海外金融機関に対し同日以降の支払い代金の繰り延べを要請、同月15日に事業再生ADRを申請した。事業再生ADRでは再生計画についてすべての金融機関の合意が得られれば、返済の先送りが認められる。

 3月29日の全取引金融機関を対象にした第1回債権者説明会には、新生銀行や三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行など10行が参加。事業再生案決議の債権者会議終了時点(7月3日)までの借入金の元本弁済を一時停止することについて承認を得た。

 だが、事態は急展開する。5月初旬、自社船「さんこうみねらる」が米東部沖で海外船主に差し押さえられたのだ。同社は、4月時点で185隻ある運航船の約8割を国内外の船主から借りていた。3月9日に用船料の繰り延べを求めたことにノルウェーやギリシャの船主が反発、差し押さえの挙に出たのだ。

 その結果、差し押さえの動きの広がりを懸念した荷主離れが加速。貸していた船の引き揚げも続出。運航中の船は150隻程度まで減り、請け負った貨物を輸送できない事態となった。このため再生計画のメドが立たなくなり、7月3日の第2回債権者会議に再生計画を提出できなくなった。