前回記事(http://biz-journal.jp/2012/08/post_527.html)で、預金が半減してしまうこともある、高リスク金融商品「仕組み預金」について紹介した。
今回は、「仕組み預金」と同様にリスクの高い「預金延長型」の仕組み預金について見てみよう。
こちらも預金という名はついているものの、本質は金融商品である。
この商品は、預けている期間が長くなるほど、金利がアップしていくシステムになっている。一例を挙げると、預け入れ日から3年間は0.5%に固定されているが、3年目以降は1年ごとに、0.55%、0.6%と上がっていき、10年後には1%の金利になるといった具合だ。
通常の定期預金に比べれば、高い金利がつくように見えるだろう。
ただし、ここにも危険なワナが潜んでいる。満期日を延長するかどうかの決定権は、利用者ではなく、銀行側にあるのだ。満期を延長したほうが銀行にとって有利な場合は延長をし、銀行が不利になると思えば、延長せずに払い戻してしまうのである。
こうした延長の決定を左右するのは市場金利の動きだ。
仕組み預金の金利が市場金利を下回っていれば、満期は延長される。銀行は高い金利で運用をし、利用者には低い金利を払えばいいからだ。逆に仕組み預金の金利が市場金利を上回っていて、利用者により高い金利を払わなければならないとなると、さっさと打ち切ってしまうのである。
あくまでも、銀行が損をしないように満期を決定できるというわけだ。
利用者に不利な条件ばかり
預金延長型の仕組み預金も、金融デリバティブ取引と預金を組み合わせた商品だ。したがって、原則として途中解約はできない。やむを得ない事情で解約した場合には、大きく元本割れをする可能性が高いといえる。
一見、定期預金の金利よりかなり有利に感じられるが、
「途中解約ができない」
「満期日が確定しない」
など問題も多い。そもそも満期日が確定しない商品で、3年定期や10年定期との金利を比較することなどできるはずがないのである。
いずれにしろ、預金延長型の仕組み預金は銀行側にとってオイシイ商品なだけ。利用者にはハイリスク・ローリターンな商品と言って過言ではないだろう。
(文=長尾義弘/フィナンシャル・プランナー)