具体的には、今年1月よりサービス内容をリニューアルした、スルガ銀行のインターネット支店である「ANA支店」。ここに開設した口座を、携帯電話やクレジットカードなどの各種支払いに対する引き落とし口座にしておくと、例えば、電話料金は毎月1件につき10マイル、クレジットカードは1件につき5マイル、生命保険や損害保険は1件につき5マイルがもらえる、という仕組みだ(引き落とし金額にかかわらず、該当マイルが付与される)。
また、給与振込口座にしておくと、毎月50マイルがもらえたり(振込金額10万円以上)、使途が自由なフリーローンを借り入れている場合、ローン残高に応じてマイルがもらえるようになっている。
取引するだけでポイントが貯まる
このスルガ銀行「ANA支店」のポイントサービスの新しいところは、さまざまな銀行取引に対して、ANAのマイレージが付くという点。
これまで、似たようなサービスはいろいろな銀行が実施してきた。例えば、給与振込口座に設定しておくと、住宅ローン金利を引き下げたり、ATMの時間外手数料を無料にするといった優遇措置だ。また、ポイントを付与する銀行もあったが、そのポイントは銀行独自のもので、貯まってもオマケのような景品しかもらえない、といった内容だった。
一方、スルガ銀行「ANA支店」など新しいポイントサービスを提供する銀行は、ANAマイレージのような、すでに貯めている人が多い”汎用性の高い”ポイントを提供しているため、利便性とおトク度がかなりアップしている。
スルガ銀行以外では、同じくANAマイレージが貯まる、三井住友信託銀行の「ANA・三井住友信託マネークラブ」がある。定期預金をすると50万円ごとに100マイル、外貨定期預金50万円ごとに100マイル、投資信託を購入すると10万円ごとに20マイルもらえる、といった内容である。
20種類以上にポイント移行できる「りそなクラブ」
そして、貯められるポイントの豊富さで抜きんでているのが、りそな銀行の「りそなクラブ」。取引内容や取引残高によって、「りそなクラブポイント」が貯まり、貯まったポイントは、
・カルチュア・コンビニエンス・クラブ「Tポイント」
・ヨドバシカメラ「ヨドバシゴールドポイント」
・楽天「楽天スーパーポイント」
・NTTドコモ「ドコモポイント」
など、なんと20種類以上のポイントに移行することが可能だ。
移行先には、
・JAL「JALマイレージバンク」
・ANA「ANAマイレージ」
・セブン・カードサービス「nanacoポイント」
・イオン「WAONポイント」
が併存するなど、他のポイントサービスでは考えられない、”銀行ならでは”のバリエーションとなっている。
ポイントの獲得方法は、給与振込口座の指定や定期預金や投資信託の購入・残高といった、ややハードルの高い方法以外に、「りそなカードもしくはVisaデビットカードの利用(代金引き落とし)で10ポイント」などもある。
効率良くポイントを貯める
また、投資信託や外貨預金の預け入れは毎月1万円からポイントが付き、合計残高にもポイントが付くことから、毎月の積み立てでこうした金融商品を購入していけば、効率よくポイントを貯めることもできるだろう。
「りそなクラブポイント」のような、貯めた独自ポイントを別のポイントに移行できるサービスには、北海道銀行の「Doポイントクラブ」もある。移行先も、
・楽天「楽天スーパーポイント」
・ヤマダ電機「ヤマダポイント」
・JAL「JALマイレージバンク」
など、10種類あり、豊富だが、残念なのは、ポイントを獲得するには、給与振込口座の登録、住宅ローン借り入れの有無、定期預金や投資信託の残高といった条件しか用意されていない点。スルガ銀行「ANA支店」のように、各種料金やクレジットカードの取引件数についてポイントが付くような設定が欲しいところだ。
セブン銀行はポイントの貯めやすさナンバーワン
その点、セブン銀行は、ポイントの貯めやすさはナンバーワンといえるかもしれない。
・給与(「賞与」含む)の受取りで毎月10ポイント
・オークション代金や仕送り等の振り込み入金の受取りで10ポイント
・クレジットカード代金や保険料等の自動引落しで10ポイント
・セブン銀行あて及び他行あての振込出金で10ポイント
など、口座で取引をするたびにポイントが付くというイメージだ。
特に、オークション代金や仕送りなどの振り込み入金の受取りは、月に5件まで認められるので、最大で50ポイントもらうことができる。この貯めやすさは、他行にはないだろう。
電子マネーとポイントサービスの組み合わせ
貯まるポイントは「nanacoポイント」なのだが、当然nanacoポイントは電子マネーとして使えるので、ポイントの汎用性の高さについてはいうまでもない。
現在、ポイントサービスは、電子マネーを中心として、「楽天スーパーポイント」や「Tポイント」「ヤマダポイント」など、業績が好調で経営体力がある企業が提供しているものに集約されつつある。そうした、メインとなるポイントサービスを補完するようにして、銀行の新ポイントサービスを使いこなせば、効率よくポイントを貯めることができるはずだ。
(文=松岡賢治/フィナンシャル・プランナー)