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戦犯の片山・町田が“暗躍” 危機の今でもヒラメ社員と労働貴族が跋扈

シャープ、ホンハイとの出資交渉迷走の背景にある「傀儡経営」

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シャープ、ホンハイとの出資交渉迷走の背景にある「傀儡経営」の画像1インタビューに応える奥田隆司・シャープ社長
(9月2日付日経新聞より)
※前回記事はこちら
 醜い男の嫉妬と内部崩壊が招いたシャープの経営危機

 今年のNHK大河ドラマ『平清盛』は、視聴率の悪さばかり話題になるが、筆者は「驕る平家久しからず」という視点でドラマの進展を楽しみにしている。9月になってからの放送では、その「伏線」が出始めている。頂点を極めつつある平家内部で滅亡への萌芽を感じさせる場面がある。異母兄弟である、後継者平重盛と平宗盛の間に微妙な距離感が生じているほか、清盛の異母弟で、本来ならば嫡流である頼盛の演技も平家が一枚岩でなくなっていることを浮き上がらせている。

 結局のところ、平家滅亡も内部抗争が引き金となり、清盛の死後、後白河法皇にそこを付け込まれ、「源氏再興」という環境の変化が、決定打になったということではないか。

 これは、シャープやトヨタが衰退していくプロセスと、どこか重なってしまう。

奥田新社長は町田前会長の傀儡

 シャープは、存亡の危機となった今でもガバナンスに問題があるように思う。

「相談役の町田勝彦氏が台湾のホンハイとの交渉窓口を務め、銀行への説明役は会長の片山氏(前社長)が担い、新社長の奥田隆司氏は町田氏の指示に従うだけの傀儡」

というシャープ関係者の指摘もある。それぞれが好き勝手なことを言って、誰が責任者なのかわからない。外資との交渉、銀行への説明といった重要な役割は経営トップが判断すべきことであるが、今のシャープは詰まるところ、誰が真の経営トップかわからないのだ。

 これだと、交渉相手のホンハイ側も誰が意思決定者かわからず、うまくいく交渉もいかず、長引くだけだ。ホンハイの郭郭台銘会長と町田氏に信頼関係があるから町田氏が交渉を担っているといわれるが、役員でもなんでもない町田氏が権限を持つこと自体、経営を負託したシャープの株主の視点から見てもおかしな構図だ。

 かつて三菱自動車がダイムラーと資本提携交渉をした際、河添克彦社長(当時)が最終決定者ではなく、三菱重工業、三菱商事、三菱東京UFJ銀行の3社が合議で三菱自動車を支配しており、ダイムラー側は誰と交渉すればいいのか迷ったことがあるのと同じだ。

経営危機を招いた片山前社長が、なぜ交渉に参加するのか

 堺工場への過剰投資などの経営責任を取って、代表権のない会長に退いた片山氏は謹慎隠居すべきなのに、重要な交渉に関係することはおかしい。そもそも代表権のない会長という役職をつくって、宙ぶらりんの立場にしておくこと自体、危機感に乏しいおかしな役員人事なのである。

 町田氏もいくら実力者とはいえ、相談役に退いたのだから、重要な交渉を担うべきではない。その交渉を担うべき人材がいないのだとすれば、長らくシャープの社長、会長を務めてきた経営者として、後継者育成という経営者の大きな責務を果たしていなかったことになる。今からでも遅くないので、役員退職金を返上してはどうか。シャープの資金繰りにとっては「焼け石に水」ではあろうが……。

BusinessJournal編集部

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