(「ヴェヌーシア(啓辰)公式サイト」より)
日産の株価の年初来の高値は、4月2日の905円。高値からの下落率は実に27%に達する。尖閣諸島の国有化を巡り、中国では反日感情が高まり日本車の不買運動が起きていることを投資家が懸念しているのだ。
日本の自動車メーカーの中で、日産は中国への依存度が最も高い。中国での強さが裏目に出た格好だ。
中国では建国記念日にあたる10月1日の国慶節をはさんで大型連休に入る。日産は東風汽車集団(湖北省)との合弁、東風日産自動車(広東省)の花都工場(同)など、3工場を9月27日から操業を停止した。国慶節の休業期間を例年より3日早めて9月27日からとし、連休明けの10月8日に操業を再開する。
日産は中国の需要増に合わせて生産を増やしてきた。今年6月には中国遼寧省の大連市に、最大50億元(約625億円)を投資し新しい工場を建設すると発表したばかりだ。新工場では日産ブランドの乗用車を生産する予定で、2014年の生産開始時点の生産能力は15万台。最終的には最大で30万台まで能力を拡大する計画だった。
中国との合弁である東風日産の、2012年上半期(1~6月)の新車販売台数は45万4798台。前年同期比21.7%増で、市場平均の7%増を大きく上回った。中国の新車市場は減速傾向を強めているが、市場平均の3倍以上の伸びを達成には、11年に中国専用の自主ブランドとして立ち上げたヴェヌーシアの1万2723台分が大きく寄与した。
快走を続ける数字を背景に、新工場の建設計画を打ち出したわけだが、その矢先に反日騒乱という暴風雨が吹きつけた。日系販売店の放火や、日本車の破壊など反日行動が過激化した。
実は、反日デモの以前から、日産の中国での新車販売に陰りが見え始めていた。上半期の2ケタ増とうって代わって、下半期に入った最初の月の7月はマイナス2%に反転し、8月も0.6%増の微増にとどまった。「日中対立の影響が新車販売に出始めた」との見方が社内でも出ていたが、9月になってそれが現実のものとなった。
自動車担当アナリストによると「日本メーカーにとって最大の市場である広東省では、尖閣諸島問題が発生して以降、日本勢の販売は前年比6割減で推移している。代わって、ドイツと米国、韓国のメーカーが販売を伸ばした。なかでも独フォルクス・ワーゲン(VW)、米ゼネラル・モーターズ(GM)の販売は同4割増えた。欧米勢が漁夫の利を得ている」という。