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「食べログやらせ事件」以前から、そもそも口コミサイトは信用されていない?

“本物の”ブラック企業が口コミサイトで悪口を書かれないワケ

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“本物の”ブラック企業が口コミサイトで悪口を書かれないワケの画像1「Thinkstock」より
 5年前、ある調査結果がネットユーザーの間で話題になったことがある。

 PR会社のビルコムが、全国のインターネットユーザー400名を対象に「企業とブロガーの関係」に関する調査を実施し、2007年2月にその結果が発表された。それによると、企業が宣伝のためにブロガーにカネを渡す行為について、55.5%が「賛成」し、44.5%が「反対」だった。

 賛成理由のトップは「企業のために書いた記事の報酬を受け取るのは当然だから」で68.0%。反対理由のトップは、「お金をもらってブログを書いたのか、本当に書き手が良いと思ったのかがわからず読者の混乱を招くから」で79.8%だった。

 企業が自社商品の推薦記事を書いてもらうために、ブロガーにカネを払う場合があることを41.3%が知っていた。もっとも、「知っていた」という人に尋ねると、「企業からお金をもらって書いている友人・知人の推薦商品(サービス)を信用するか」という質問に63.0%が信用しないと回答し、それが知らない人のブログなら86.7%が信用しないと回答している。

 この調査結果はいかようにも解釈できるから、けっこう論議を呼んだ。「お金がもらえるものなら私もほしい」「ブロガーのセミプロ化は容認するが、その人のブログは信用したくない」というのが穏当な解釈だが、「金を渡してもいい」という賛成意見が過半数を占めた一点だけに逆ギレして、ブログの読者が多く、アフィリエイト広告でいっぱいのブロガーを執拗に攻撃する者も現れた。

●日常茶飯事化したネット上での誹謗・中傷

 それから5年以上経過してツイッターやフェイスブックも普及し、ネット社会はより複雑化した。企業がネット上のどこかで誹謗・中傷にさらされるのは日常茶飯事で、日本を代表する優良企業も例外ではない。

 たとえば、最近増えてきた求人がらみの「口コミサイト」の一部は、自称「社員」が匿名で会社への不平不満をぶつける場と化していて、まさに「書いた者勝ち」の世界である。

 極端にいえば、どんなに給料が良くて、仕事がラクで、出世が早くて、人間関係がうまくいっている会社(それが「いい会社」かどうかはまた別問題)でも、おぞましい「ブラック企業」に仕立て上げることが簡単にできてしまう。やっと就職したら、「ミッション・インポッシブル(達成不可能な命令)」を連発して怒鳴りまくる鬼のような上司に真夜中までこき使われ、サービス残業ばかりで生活できないような安月給しかもらえず、挙げ句の果てに使い捨てにされました、といった類のウソの口コミを書き続ければいいだけだ。

 口コミサイト側も、現役社員や元社員による賛否や評価点やコメントをつけたりして、内容の信ぴょう性が確かめられるようにしようとしているが、たとえば悪評に「これはウソです。なぜなら……」というコメントがついたら、「どうせ会社の上層部に命じられた人事部あたりの社員の仕業だろう」と、コメントのほうが逆に疑われたりするから始末に負えない。

 悪評というものは良い評判の数倍、早く、広く伝わる。ウソでも悪評ばかり公開されたら人材採用に差し支えるだけでなく、事情を知らない消費者に伝わると、「あんなブラック企業の商品は買うのをやめようか」と思い始め、日々の売上にまで影響してしまう。

 だが、たとえ書いてあることがウソ八百でも、「毅然とした態度で抗議する」といった正攻法のレピュテーション・マネジメントだけでは、悪意の口コミで企業の評判が傷つくのをコントロールしきれない。それがネット社会の怖さである。

●総会屋より怖いネット

BusinessJournal編集部

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