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IGPIパートナー塩野誠「The Critical Success Factors Vol.4」

高給を払わないでも“超”優秀な人材に働いてもらう方法とは?

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塩野誠氏
 ゴールドマン・サックス、ベイン&カンパニーなどの複数の外資系金融機関やコンサルティング会社を経て、ライブドア時代にはあのニッポン放送買収を担当し、ライブドア証券副社長に就任。現在は、経営共創基盤(IGPI)でパートナー/マネージングディレクターとして企業の事業開発、危機管理、M&Aアドバイザリーに従事するのが、塩野誠氏である。そんな塩野氏が、ビジネスのインフォーメーション(情報)をインサイト(洞察)に変えるプロの視点を提供する。

 前回の『経営者がいくら払っても欲しい、今、一番高く売れる人材とは?』は予想外の反響があり、色々と賛否の声を頂戴いたしました。

 売れる人材は、ビジネスがわかってファイナンスや法務の知識もある語学堪能なハード・ネゴシエイター(交渉人)といった話をしましたが、「そんな人材採ってもすぐにどこかに行ってしまうだろう」や「せっかく人材を育てても、外資に引き抜かれるだけ」といった声も聞きました。こうしたご意見に対して、少し考えてみました。

 良い人材=高給取りである、人材市場で価値がある、すると他社(特に給与の高そうな外資)に獲られるのではないかという感覚がありますが、現在形で人材採用にかかわっている私の印象は、下記のようなものです。

(1)外資系企業の不人気

 リーマンショックから現在まで、外資系投資銀行などでは第二新卒レベルでクビになる例が多くありました。また、東日本大震災以降、若手人材の全般的な保守化傾向もあるのか、今までは語学堪能な東大生といった人材を採用できていた投資銀行をはじめとする外資系企業も、採用戦線において「日系商社にかなり負けている」と言っています。

 新卒・若手の人材市場においては、入試偏差値の高い大学出身者も、当初の給与の高い外資系より日系企業志向は高まっているという印象です。実際に学生と話をしていると「外資系に行った先輩がクビになったりしているし、今では滅茶苦茶に稼げるわけでもなさそうなので、調子が良さそうな有名商社がいい」という整理のようです。「短期間でも、とにかく稼ぎたい」という学生には、今ではほとんどお目にかかりません。

(2)(たぶん)ロジカルで語学も会計もできる若者の行く先

 転職市場をさまよう30歳前後の外資系戦略コンサルティング会社勤務の若者は、「昇進か? クビか?」の文化の中で上には行けなそうな雰囲気になってくると、「日本の商社や銀行に行っておけばよかったかなー」という思いがよぎります。人間性やキャラはともかくとして、社会に出た途端から「昇進か? クビか?」の文化に放り込まれ、月間400時間くらい働いてきた外資系コンサルの若者たちは、そこそこロジカルで数字もわかり、英語を使ったクロスボーダー案件の経験もあるものです。

 そんな彼ら彼女らも、30歳くらいでどこまで上にいけるか見えてくると、「このままコンサルにいるか? 事業会社に行くか?」と悩み始めます。一方で、実際には日本のメーカーなど事業会社の転職先がたくさんあるわけではありません。前職の給与水準の問題もありますが、だったらランクを落として別の外資系に行けばよい話です。

 こうした人たちは、「これからは日本の事業会社でがんばろう」という意思を持っていても、今までの経験が生かされるような事業開発部や経営企画部での求人、またはそれなりに活躍できそうな役職がないのが普通であり、伝統的な事業会社に入りたくても入れないで転職活動を終えます。すると最終的には、こうした基礎的なスキルが高い人材は、積極的かつ柔軟な人材採用を行っている企業、今ならグローバル展開を進めるソーシャルゲーム企業などから内定をもらうことになります。

 今からバリバリ働いてくれそうな、ポテンシャルのある若手人材は新卒でも中途でも、採ろうと思えば採れそうな気がします。とはいっても、三菱商事と取り合うようなハイスペック人材なんて、全体から考えたら0.1%以下だろうという声も聞こえてきそうなので、ここからが今回、お伝えしたかったことです。