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1000円の書籍で利益は100円、欲しい本も入らない…書店はツライよ…

楽天が取次事業参入?に見る“ややこしい”出版ビジネスの裏側

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電子書籍「kobo」に取次事業と、“本”ビジネスに
積極的な楽天のHPより
 9月8日、楽天が出版取次事業に参入するというニュースを朝日新聞が報道じた(http://book.asahi.com/booknews/update/2012090800003.html)。見出しは「楽天、書店に即日発送」。楽天から書店に本が即日発送されるというのは、どういう意味なのか? 誰が得で誰が損なのか? ここで簡単に解説しよう。

 まず、「出版取次事業」とはなんなのかということが、一般的にあまり知られていないだろう。実は出版社が、つくった本を書店と直接やりとりしているということは、非常に少ない。ごく一部の出版社は特定の書店に直接納品していたりもするが、大半の出版社は取次と呼ばれる会社を通して、書籍を流通させている。

 出版社は本ができあがると、取次に納品する。取次は倉庫にある本をできるだけ効率よく販売する役割を持っていて、全国の書店に配本したり、返品の管理をしたりする。日本では基本的に多くの本が再販制度の上で委託販売の形式をとっているため、書店は売れないかもしれない本も店頭に並べ、売れなかった分は取次に返品すれば損をしない。

 買う人がいないかもしれない本でも、店頭に並ぶチャンスを与えてくれるシステムでもあるが、実は書店にとっては、欲しい本が確実に入手できるわけではない仕組みでもある。

 たとえば出版社が100しか印刷できなかった本の前評判が高く、多くの書店が欲しいと声を上げたとしよう。すべての希望を合計すると200必要になる。しかし本は100しかない。この時、取次は過去の実績データから、確実に売ってくれそうな書店を優先する。都会の大規模店には30の希望に対して売り上げを見込んで40送ったのに、地方の小規模店で10希望を出しても1しか入荷しない、ということが起こるわけだ。

 小規模店でもその本が欲しいという人がたくさんいれば、追加発注を行うしかない。しかし実際にはなかなか入荷できないのが難しいところだ。印刷物が品切れなのならば仕方ないが、実際には取次や出版社に在庫がある既刊でも、だいぶ待たされる。

●楽天を使えば待たなくてよくなる?

 取次会社は大手3社が大半のシェアを持っている。つまり、日本中の出版物を3社で捌いていると言っても過言ではない中、小さな書店からの問い合わせにネットショップのような速度で対応できないというのは、仕方ないのかもしれない。

 一方で書店側も店の面積は限られており、大型倉庫があるわけでもないため、売れないかもしれない本を置いておく余裕はない。売れる本だけを並べ、売れそうにない本は棚に置かないまま取次に返送してしまうということもよくある。そのため、普段たくさん売れるわけではない本を欲しい人が1人だけいると、取次に問い合わせるしかなくなる。

 しかし、今はAmazonがある。豊富な在庫を持ち、注文すれば当日や翌日に持ってきてくれる。書店で取り寄せを依頼すると7〜10日ほど待たされる上に、確実に入手できる保証はないのだから、書店は使わずAmazonで済ませるという人が多くなるのは当たり前だろう。この流れで、街の小規模書店はたいへんな勢いで消えている。

 そこで楽天が乗り出すのが、二次取次だ。楽天自身もネット書店を運営しているため、立場的には街の書店と同じく大手取次会社から本を仕入れている側になる。しかし街の書店とは違い、大きな倉庫を持っており、ネット書店として注文に即日対応できるだけのシステムと人員を持っている。これを個人ユーザー向けではなく、書店向けに使うことで二次取次事業を行おうというのだ。

●高齢者でも子供でも、すぐ本が手に入る…かも?

 これはAmazonや楽天を普通に使っている人から見れば、なんの意味があるのかわかりづらいことかもしれない。宅配便の受け取りが難しいという人にはコンビニエンスストアでの店頭受け取りもあるし、街の書店にわずかな利益を与えることができる書店店頭受け取りサービスを提供しているネット書店もある。しかしそうしたサービスを受けられるのは、今のところ自分でPCやスマートフォンを使って注文できる人だけだ。

『成功の法則92ヶ条』


三木谷社長自らが語る「成功の条件」

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