防衛省情報本部員も多数参加?のSNS秘密会は入会カンタン!?
他方、同じ防衛省でも、陸上自衛隊や航空自衛隊の見学会では、手荷物検査のほか金属探知機によるチェックが行われる。この一事をもってしても、海上自衛隊のセキュリティ意識は、随分と低いものであることがうかがえよう。
前回記事(『自衛隊、SNSでの防衛機密情報ダダ漏れが止まらない!?』)で、海上自衛隊員の情報セキュリティに対する認識の甘さについて報告したが、リアル社会ですらこのような具合ゆえ、ネット社会ではさらに危ない状況になっているようだ。
●Facebookのプロフィールに反応する自衛隊学校は?
会員制SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のうち、ユーザーに実名での利用を呼びかけているのがFacebookだ。
この実名での利用では、ネット上ながら旧友と再会できるなどのメリットがある半面、ネット上の人物がはたして当該人物本人なのか、なりすましなのかどうかの判断がつきにくいというデメリットも指摘されている。
Facebookユーザーのプロフィールを見てみると、防衛省・自衛隊に勤務する人のうち、海上自衛隊勤務と称する人が著しく多い。SNS上とはいえ、かつての旧友や同窓生との再会はうれしいものだ。たとえ面識はなくとも、同じ高校や大学出身というだけで、無条件にSNS上での「友達」となり、親しく情報交換する人も少なくない。
どこの国でも、軍人は固い絆で結ばれているものだ。もちろん日本の自衛隊員は厳密には軍人とはいえないが、もしFacebook上で、自衛隊学校出身者になりすました場合、はたして同校出身の自衛官と親しくなれるだろうか?
自衛隊員の育成を目的とする主な学校は、防衛大学校、防衛医科大学校、そのほか陸・海・空の幹部候補生学校などがある。そこで、主な自衛隊学校の出身者になりすましたプロフィールをFacebook上に掲載し、その反応をみた。
●海上自衛隊少年術科学校OBから、「秘密グループ」への招待が…
まずは防衛大学校出身者になりすましたプロフィールをFacebook上に掲載。しばらく放置していると、何人かの防衛大出身者からSNS友達の申請が来た。SNS友達になったが、あくまでも個人同士のやり取りに終始した。そのほか主だった自衛隊学校も同様だ。特に、自衛隊に関する内容のやり取りを行うことはなかった。
唯一違ったのが、海上自衛隊少年術科学校だ。プロフィール上に、ここの出身と掲載しているだけで、何人かのOBと思われる人物から、何らメッセージなどなくノーチェックで“お友達登録”が届き、Facebook上の「海上自衛隊・生徒」グループへの招待までされた。このグループは、一応、Facebook内では「秘密グループ」という扱いだ。
Facebook内では、さまざまなグループをつくって、ユーザー間での交流ができる。投稿内容、参加者共に公開している「公開グループ」、投稿内容や参加者は非公開だがグループの存在そのものは公にしている「非公開グループ」、そして投稿内容、参加者、どちらも非公開、かつ存在そのものが秘密の「秘密グループ」に分かれる。
もっとも秘密グループといってもFacebook側のバグなどにより、「秘密グループ」への投稿内容が表に出たという話は、ネットユーザーの間ではよく知られた話だ。とりわけスマートフォンからの投稿では、秘密グループに投稿したつもりでも、すべて公開になり、秘密が守れなかったという話もよく耳にする。
●海上自衛隊は、情報セキュリティへの認識が甘い?
このFacebook上における「海上自衛隊・生徒」グループ、秘密会といいながらも、ここのOB個人が運営している個人のHPなどでその存在が明らかになっていることから、これはもう秘密会でもなんでもないだろう。