(「IIJ HP」より)
IIJの鈴木幸一社長と勝氏の関係は、「勝さんが事務次官になる以前の勉強会の仲間。勝さんが個人的に再就職を見つけたようです」(霞が関関係者)
鈴木社長は、日本初の商用インターネットプロバイダーであるIIJの創業者。ネットの世界では有名人だが、いわゆる財界では無名に近い。1998年、IIJはトヨタ自動車、ソニーと日本初のデータ通信会社、クロスウェイブコミュニケーションズ(CWC)を設立。鈴木氏は自ら社長に就任した。
CWCは2000年に米ナスダックに上場。しかし、ITバブルが崩壊しトヨタ、ソニーは支援を打ち切り、CWCは03年8月、負債総額684億円を抱えて会社更生法を申請した。
「『債権者集会で謝らない経営者を初めて見た』と金融関係者を驚かせたほど、鈴木さんは鼻っ柱が強い。トヨタとソニーが支援を継続してくれていたら、今頃、CWCは世界的な超優良企業になっていたと、悔しがっていました」(IT業界の首脳)
「鈴木社長はアクの強い異端児。政財界に幅広い人脈を持つ勝さんも似たところがある。似た者同士で2人は馬が合う」(同)ともいわれる。
IIJはCWCの破綻で窮地に陥ったが、NTTグループが支援。06年12月に東証一部に上場を果たした。NTT(鵜浦博夫社長)が24.4%の株式を保有する筆頭株主だ。
“影の総理”といわれた勝氏は、ひとまずNTTグループのIIJの特別顧問に腰を落ち着けた。
「勝氏はいずれ、日本銀行総裁や13年1月に新しく発足した日本取引所グループの会長兼CEOなどに天下るのは確実。世間が注目しているので、今は慎重にならざるを得ない。時間稼ぎとしてIIJへ行ったのではないのか。要するに“つなぎの場”を鈴木社長が提供したということです。財務行政と無関係なIT企業なら、天下りの批判にさらされることもない」(前出・霞が関関係者)
常勤の特別顧問で、人と会うための部屋、秘書、専用車の三点セットが付いている。「IIJの役員報酬の平均は1300万円。勝さんぐらいの超大物なら、それを下回ることは絶対にない」(前出IT業界の首脳)ともいわれている。
(文=編集部)