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シリアルアントレプレナー・小川浩「Into The Real vol.12」

今年起業を目指す人へ送る、失敗しないための起業家の条件

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『ネットベンチャーで生きていく君へ』
(日本実業出版社/小川浩)
 現在のソーシャル × モバイル化へと続くWeb2.0時代の到来をいち早く提言、IT業界のみならず、多くのビジネスパーソンの支持を集めているシリアルアントレプレナー・小川浩氏。そんな“ヴィジョナリー”小川氏が、IT、ベンチャー、そしてビジネスの“Real”をお届けする。 

 マヤ暦の予言は外れたらしく、世界の終末はまだ来ていない。

 というか、そもそもマヤ暦での終末予告は、単に2012年12月21日までの記載しかないことを拡大解釈して、「その後の未来がない=この世の終わり」と考えた人たちの空騒ぎであったといえるだろう。起業家とは、カレンダーに空白があるならば、「そこに新しい仕事の予定を入れられるな」と考える楽観的なワーカホリックである。いたずらに騒ぎを大きくした人たちにも、ぜひ見習ってもらいたいものだ。

 そう、たいていの起業家には、共通して備わっている素質というか特徴がある。本年最初のエントリーでもあるし、緩い話題としていくつか紹介しよう。

(1)楽観的である

 前述の通り、起業家とは非常に楽観的な気分の持ち主が多い。キャッシュフローが残り少なくなり、新たに資金調達をするか大きな事業入金がなければ、1〜2カ月後には倒産に追い込まれるというような非常事態に陥ることも、スタートアップにはよくあることだ。

 そうした苦境に追い込まれても、睡眠障害や食欲不振になる起業家は意外なほどに少ない。もちろん馬鹿ではないから危機は自覚しているし、そこから逃れようとして必死に働いてはいる。「なんとかなるさ」というように自分の幸運に過度に依存しているわけでもないのだが、頭のスイッチの切り替えがシンプルにできているらしく、気の置けない友人と食事している時や、ベッドに入る時には自然と安らかな気分へと落ち着く。食欲と睡眠欲(と、もしかしたらほかの諸々な欲望)などを失うことは、結局体力と気力を奪うことをOSレベルで理解しているので、自然に避けることを体得しているのだ。

 また、これは「動物の本能に近い」といえる。鹿やイノシシなどは、銃で撃たれて致命傷を負ったとしても痛そうな顔はしない。「なんでもない」という顔をしたまま数百メートルから数キロも逃げようとする。「ヤバい!」みたいな表情を見せることなく、危機や死に対しても平然としてみせることが、本能的にリスクを低減させることを知っている。

 起業家も、「ああヤバいな」と思って心が折れそうな時こそ、自然に明るい表情を保てるものだ。それが本能的な所作なのである。

(2)心配性である

 インテルのアンディ・グローブは、これを「偏執狂=パラノイア」と表現しているが、起業家は常に最悪なケースを想定してビクビクしているし、何か手を打っておかないと心配でしょうがないものだ。これも動物と同じで、ちょっとした物音にもピクッと動いて周囲を見渡すようなところがある。

 (1)と真逆に見えるかもしれないが、そうではない。楽観的の逆は悲観的であり、心配性は悲観的とは違う。常日頃から何かと心配しているからこそ、楽観的でいられるともいえる。明日新しいベンチャーが自分たちの製品を超えるプロダクトをリリースするかもしれない、明後日には大企業が自分たちの市場に参入してくるかもしれない、ライバル企業がクライアントを奪うために今夜接待攻勢をかけているかもしれない云々と、心配のタネは尽きない。だから必死に働いて、常に対策を考え、新しい手を講じようと努力する。それが起業家なのだ。

 つまり心配性だからこそ努力し、楽観的だからこそ日々のハードワークやストレスに対しても耐えられる。ポジティブに、常に心配するのである。

(3)攻撃的である

 物腰が柔らかくておとなしい起業家はいるが、心の底から草食系のような起業家はいない。みな、共通して強い欲望を持っているし野心家である。極端にせっかちでもある。少なくとも年収150万円で幸せ、と考えるような人はいないし、むしろ月収150万円でも満足できないと思うほうが普通だ。もちろん起業の目的はお金ばかりではないが、起業家である以上、経営目標は常に金銭的価値をもって測られる。