S&Pをはじめとする格付け会社は、金融危機が深刻化するまで、住宅ローン担保証券に最高格付け「AAA」を与えており、08年9月に経営破綻した証券大手リーマン・ブラザーズについても、破綻直前まで「投資適格」としていた。格付け会社は住宅ローン関連証券を発行する金融機関などから手数料を得ていたことが、格付けを実態より高く据え置いていた背景にあるとの批判が強かった。今回司法省も、「格付けを受ける顧客への営業的配慮があった」と指摘している。金融危機の深刻化に伴い、S&Pなどはそれまで最高格付けだった住宅ローン担保証券を短期間に「投機的」へ格下げし、格付けに対する投資家の信頼が揺らいだ。
すでに米銀大手は、過去の住宅ローン担保証券について対応を迫られている。バンク・オブ・アメリカなど大手10行は、住宅価格の下落が始まっていたにもかかわらず、住宅ローン関連の金融商品を実態より割高な価格で販売していたとの批判を受け、今年1月、米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)などに合計約200億ドルを支払うことで合意している。
金融危機後、格付け会社は迅速に格付けを見直す姿勢をとっており、09年からの欧州債務危機では重債務国の格付けを大きく引き下げたが、「危機を助長している」との批判も出ている。
また、日本でも昨年12月14日、金融庁はスタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン(S&Pジャパン)に対し、信用格付け付与の業務管理体制の整備が不十分で金融商品取引法に違反したとして、業務改善命令を出している。
格付け会社にとっては、当面苦境が続きそうだ。
(文=編集部)