(「NTTドコモ HP」より)
話題になっているのは値段ばかりにも見えるが、この「dtab」、ドコモが売っていると考えるとかなり変な製品だ。なんといっても、ドコモの回線がついてこないWiーFi専用端末だというのが不思議なところ。つまりドコモのほかのタブレット「ARROWS Tab」や「GALAXY Tab」ではなく、回線なしで購入できる「Nexus 7」や「Kindle Fire HD」あたりと比較するマシンだということになる。
●ライバルは「Nexus 7」?
どういう端末なのか、まずはスペックを見てみよう。「dtab」は10.1インチ、1280×800ピクセルのディスプレイを搭載したタブレットだ。OSはAndroid 4.1。メモリは1GBで、CPUは1.2GHzのクアッドコアのものが採用されている。
これに一番スペックが似ているのは、「Nexus 7」だ。ディスプレイサイズこそ7インチと小さいが、解像度、OS、メモリ容量が共通している。CPUも1.3GHzのクアッドコアだから、スペック的にはかなり似ている。
サイズ以外に何が違うのかといえば、ストレージ部分がかなり違う。「Nexus 7」は内蔵16GBまたは32GBで外部メディアに対応しない。一方「dtab」は内蔵メモリこそ8GBだが、32GBまでのmicroSDカードに対応している。つまり、ストレージ部分は「dtab」のほうが自由度が高いということだ。
「Kindle Fire HD」はこれよりも少しスペックが落ちる。スペック的には、かなり魅力的な端末なのは確かだ。
●1万円は半年だけのキャンペーン価格
「Kindle Fire HD」はメモリ容量16GBのモデルが1万5800円。「Nexus 7」もメモリ容量16GBのモデルが1万9800円。どちらも1万円代で購入できるタブレットということで話題になった。これらはどちらも7インチディスプレイ搭載モデルだ。
では「dtab」はというと、10.1インチディスプレイ搭載とひとまわり大きいサイズなのに、価格が1万円程度ということで話題になっている。ところがこの価格設定、かなり微妙だ。
まず「dtab」を単体で購入しようと思うと、基本的には2万5725円だという。ではなぜ「1万円タブレット」という呼ばれ方をされているのかといえば、期間限定で9975円で販売するからだ。発売予定は3月下旬で、そこから約半年間だけのキャンペーン価格ということになっている。
しかも、その期間に購入すれば、誰でもが9975円で買えるというわけではない。この値段になる条件は「ドコモ回線を契約し、SPモード契約をしている人がdビデオに6カ月契約すること」だ。これは具体的にいうと「すでにドコモのスマートフォンを使っている人が、dビデオに6カ月契約するなら9975円で購入できる」という条件だ。
もうスマートフォンを持っているのにタブレットがさらに欲しい、という人向けの端末なのだ。通話とメールはガラケー、ネットやアプリの利用はタブレット、という感じで使い分けたい人は対象外だということになる。
●コンテンツ利用者を伸ばしたい赤字端末
安価に購入できる条件である「dビデオ」というのは、少し前まで「dマーケット VIDEOストア powered by BeeTV」と呼ばれていたサービスのことだ。1カ月定額525円で動画コンテンツを見放題になる。
ドコモとしては「dビデオ」の契約を必須とすることで、「dマーケット」の入った端末として「dtab」を世に送り出すことが目的だ。「dビデオ」自体は定額サービスだが、ここから個別課金の「dゲーム」等を利用させたり、ショッピングサービス「dショッピング」の利用が伸ばせれば、コンテンツ販売側での収益が見込める。