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医薬品ネット販売、最高裁判決で解禁でも議員連盟が“待った”のワケ

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(「Thinkstock」より)

 一般用医薬品をネットで販売することを規制する厚労省の省令に対して、ケンコーコムウェルネットが取り消しを求めた裁判で、今年1月に最高裁はこの省令を違法と判断。これによって、一般用医薬品のネット販売が事実上解禁となった。

ケンコーコム勝訴で高まる医薬品ネット販売参入の気運 しかしさらなる薬事法改正も? ー Marke Zine(1月15日)

 この判決を受けて、ケンコーコムは速やかにネット販売を再開。その売上高は1日当たり約500万円と、これまでの5倍に急増。また、Yahoo!ショッピングや楽天市場でも医薬品通販の販売環境の準備を開始している。

 しかし、現在の全く規制のかからない状態にも不安は残る。そもそも、第一類医薬品には副作用のリスクがあり、薬剤師による情報提供が必要とされている商品だ。この状況を改善するために田村憲久厚生労働大臣は、薬事法改正などを含め、新たな規制を検討する検討会を発足させた。

医薬品ネット販売、「解禁」の先 ー 東洋経済オンライン(2月8日)

 裁判の原告であるケンコーコム・後藤玄利社長にインタビューを行った本記事。

 後藤氏によれば、「買いたい商品が置いていない」「<第一類医薬品は薬剤師でなければ売ることができない」など、消費者にとって不便なシステムによって、一般用医薬品市場は縮小の一途をたどっていた。特に、後者については副作用のリスクを低減させるためのシステムであるものの、消費者にとっては薬剤師と登録販売者の見分けもつかず「販売者側の独りよがりな制度でしかない」と厳しい口調。「事業者も制度も、もっと患者目線にならなければ」と警鐘を鳴らす。

 また、後藤氏は今後は一般用医薬品だけでなく処方箋薬もネット購入できるようになるべきと、持論を展開。セルフメディケーションが進めば通院の回数も減り、医療財政にも医療費削減というメリットが与えられるのだ。

薬ネット販売、新たな規制検討へ 自民議連、立法も視野 ー 朝日新聞デジタル(1月18日)

 一方、ネット販売反対派も判決を受けて動き出している。元厚生労働大臣・尾辻秀久氏を会長とする自民党の「医薬品のネット販売に関する議員連盟」は総会を開催。「厚労省がもたもたするなら議員立法も検討する」と、薬事法の改正を視野に、週1回程度会合を開催している。

 ネット販売反対派は、最高裁判決を「省令で定めたことが問題であって、対面販売に限ることを禁じられたわけではない」と解釈。厚労省が2009年に公布した省令を、最高裁は違法としているのであり、「対面販売の原則」そのものが違法とされたわけではないと主張している。

医薬品ネット販売 ルール化の検討始まる ー NET IB NEWS(2月15日)

 2月14日、厚生労働省はライフネット生命の岩瀬大輔氏や、日本医師会中川俊男氏、日本薬剤師会の生出泉太郎氏らを招いて、第1回「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会」を開催。この会合で、ケンコーコムの後藤氏は、「ネット販売が原因となる副作用の有無」「ネット販売規制が職業活動の自由を制限する」という2つの論点を提示。特に、後者については最高裁判決理由の1つにもなっており、厚労省中井薬事企画官も「その通り」と認めざるを得ない。

 肝心のその内容については、「問題が起きたときに責任は誰が取るのかはっきりさせてほしい」、「裁判所は安全面確保について触れていない」などの意見が出されたが、本記事によれば、賛成派・反対派の議論は平行線。ぼんやりと争点が見え始めるにとどまった。

 ネット販売の解禁は、消費者の利便性向上に役立った。しかし、現在のような“野放し状態”では、いつ問題が発生してもおかしくない。速やかに適切な規制を求めたい。

医師から見た「安全性」議論の盲点とは ー JB PRESS(2月6日)

 現役の医師である多田智裕氏が、コラムでこの問題に言及している。

 多田氏によれば、対面販売であっても、実態は通り一遍の説明しかなされていないのが現状であり、対面販売の方がネットより「副作用の説明を十分にできる」という優位性はない。ただし、ネット販売にも問題点は残る。ケンコーコムの場合、商品の注文は24時間可能であるのに対し、問い合わせ対応は昼間の限られた時間しか行なわれていない。本来、薬剤師から説明がなされるべき薬も、薬剤師不在のまま販売されているような状態だ。