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千葉カジノ構想、経済効果1兆円? 森田知事再選のためのアメにすぎない?

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「千葉県 HP」より
 森田健作千葉県知事は2月28日告示、3月17日投開票の次期県知事選に出馬、再選を目指す。「森田氏は無所属ながら自民党県連が支援を表明しており、今のところ共産党が推薦する新人の三輪定宣氏(千葉大学名誉教授)との一騎打ちになるが、三輪氏は75歳と高齢ということもあり、ほぼ再選は確実」(千葉県庁関係者)とみられている。

 だが、森田知事1期目のめぼしい実績は「東京湾アクアラインの通行料金引き下げと、アクアラインでのマラソン大会くらい」(同)と冷めた見方があることも事実。周囲の関心は早くも2期目の実績づくりに移っているようだ。

 その森田知事が是が非でも実現したと動いているのが、千葉県へのカジノ施設「統合リゾート(IR)」誘致である。だが、構想が実現するためには国への働き掛けのほか、「県内で複数の候補地が手を挙げており、調整は容易なことではない」(千葉県財界人)とみられている。

 森田知事が描くIR構想は壮大だ。千葉県など関連する自治体と経済団体で構成する「グレード・アップ『ナリタ』活用戦略会議」が三菱総研に調査を依頼し、まとめたカジノを中核とする統合リゾート構想(中間報告)では、建設費や観光客の消費により、5年で1兆円超の経済波及効果が期待できると見積もっている。

 具体的には、成田空港からの距離に応じてA、Bの2案が提示されている。航空法による建物の高さ制限を受ける空港隣接地に建設するA案では、小・中規模の施設が想定されており、アクセスの良さを最優先し、アジアの富裕層を主なターゲットに据えている。施設の延べ床面積は30万平方メートルで、建設費は2000億円、来場者数は国内から173万人、海外から137万人、5年間の経済波及効果は1兆1175億円が見込まれている。

 一方、成田空港から一定の距離を置くB案では、大規模な施設を想定し、空港から約10キロメートル離れると、海外のカジノ並みの40階建て高層ビルが建てられると指摘。シンガポールやマカオのようなショッピングモールやホテル、娯楽施設などの複合施設を想定している。施設の延べ床面積は50万平方メートルで、建設費は3600億円、来場者数は国内から243万人、海外から130万人、5年間の経済波及効果は1兆4596億円が見込まれている。

●採算性に疑問の声も

 これだけ見るとバラ色のビジョンだが、地元成田市は「採算性は意外と厳しい、事業者にどれだけ魅力があるのか」と懐疑的で、周辺自治体からは、風紀の乱れを懸念する声も聞かれる。一方、千葉市の企業や市議会議員は幕張新都心へのカジノ誘致に意欲を示している。2月4日には、千葉市幕張地区に拠点を持つ企業約20社で構成する「幕張新都心MICE・IR推進を考える会」(発起人・中村俊彦幕張メッセ社長)が千葉県、千葉市を訪れ、統合リゾート誘致に関する要望書を提出した。幕張新都心の活性化を担う部署の新設や予算措置、官民学の横断組織の立ち上げ、県市の連携、特区制度の活用などを求めている。

 だが、候補地の選定は一筋縄ではいきそうにない雲行きだ。森田知事は、11年11月にシンガポールと台湾のカジノ施設を視察するとともに、県庁内に統合リゾート誘致に向けたプロジェクトチームを立ち上げ、候補地の調整に乗り出しているが、遅々として計画は進んでいない。はたしてカジノ構想は実現できるのか? 候補地の選定で県内が二分化しかねない危うさもある。結局、統合リゾートは、再選のためのアメに過ぎず、構想倒れになる可能性も指摘される。  

 森田知事は1月30日の知事選出馬会見で、「麻生(太郎現財務・金融相)が言っていたアニメ館は私がやる」と成田空港周辺にアニメ館を建設する構想をぶち上げたが、これは「統合リゾートが思うようにいかないための代替案ではないのか」(千葉県財界人)と囁かれる始末だ。再選後の森田知事の手腕が問われる。
(文=森岡英樹/金融ジャーナリスト)