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ジニ係数で明らかになった中国の格差社会

中国の所得格差は暴動寸前レベル 当局は不可解な統計で隠蔽か?

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上海一見すると急成長で安定しているように見える中国だが……。
(「足成」より)
 1月18日、中国国家統計局(以下、国家統計局)は約10年ぶりに所得分配の格差を表すジニ係数を2003年まで遡り発表した。

 ジニ係数はイタリアの統計学者コッラド・ジニが生み出したもので、所得格差を0〜1で表す。0はみんなが同じ所得を得ており、完全に平等な所得分配が行われていることを表す。逆に1に近づくほど、格差が大きくなり、1は1人の人間に富が集中している状態となる。一般的には、“0.4が社会で暴動や騒乱が起こる警戒線”と言われている。

 国家統計局は過去に1度だけ、2000年にジニ係数を0.412と推計して発表したことがあるが、それ以降はジニ係数の発表を行っていなかった。

 今回、国家統計局が発表した2003年から2012年までのジニ係数は以下のようになっている。

03年 0.479
04年 0.473
05年 0.485
06年 0.487
07年 0.484
08年 0.491
09年 0.490
10年 0.481
11年 0.477
12年 0.474

 しかし、国家統計局が発表したこのジニ係数が本当に中国の格差状態を表しているのであろうか。中国の統計には、その信憑性が疑われるものが多いことは、多くの経済専門家はもとより、中国国民すら感じているところだ。

 例えば、2008年のジニ係数は国家統計局の発表では0.491となっているが、世界銀行は0.47と推計している。こうしたケースは、中国国内の専門家の間からの指摘されている。

 2012年末に西南財経大学家庭金融研究中心は、2010年のジニ係数を0.61と発表している。国家統計局の発表では、0.481だ。北京師範大学管理学院・政府管理研究は「2012中国省級地方政府効率研究報告」の中で、2012年のジニ係数を0.5以上と発表している。国家統計局の発表は0.474となっている。

 ジニ係数のこうした違いは、「統計を行う際のサンプリング方法の違い」という指摘がある。もちろん、統計学ではサンプリングの違いにより、結果が違ってくることはよくあることだ。

 また、一説には灰色・黒色所得といった正規の所得以外の違法性のある、あるいは違法に近い所得の影響により、ジニ係数に違いが出ているとの指摘もある。中国改革基金会国民経済研究所によると、2008年の隠れた所得は9.26兆元あるとされている。しかし、実際にはこうした所得の実態は把握しづらいものであり、さらにこれらの所得は富裕層に偏っていることから、ジニ係数を計算する際に、この隠れた所得の捉え方の違いによって、結果に差が生まれるというものだ。

 いずれにしても、国家統計局の発表したジニ係数が、実態とは相当に乖離がある可能性があることは確かなようだ。

 だが、それよりも問題なのは、世界銀行にしろ、西南財経大学家庭金融研究中心にしろ、また、北京師範大学管理学院・政府管理研究にしろ、そして国家統計局の発表さえもが、“社会で暴動や騒乱が起こる警戒線”という0.4というジニ係数を上回っていることだろう。

 今回の国家統計局の発表では、2003年から上昇したジニ係数は、2008年の0.491をピークに減少に転じている。しかし、果たして本当にそうなのであろうか。中国の格差は縮小しているのであろうか。その結果を疑う声は、中国国内の経済専門家の中にも多い。

 国家統計局の馬建堂局長は、ジニ係数発表の際に、「民間研究機関の研究結果と統計局の推計結果は、いずれも所得格差の実態を表す有機的な部分を成している」と述べ、民間研究機関が発表している中国のジニ係数を否定することなく、中国の格差社会を表していることを肯定している。

BusinessJournal編集部

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