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反応さまざまなあのニュースをどう読む?メディア読み比べ(3月4日)

最近の生命保険は、顧客無視で商品ゴリ押し? 急増する乗り合い代理店に気をつけろ!

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「Thinkstock」より
 店頭の無料相談で、親切な販売員に勧められた保険に加入したら、実は自分にとって無駄があまりに多い商品で……。気づかぬうちに、そんな状況にハマっている人が増えているのかもしれない。

 金融庁が3月1日、首相の諮問機関である金融審議会で、複数の保険会社の商品を取り扱う「乗り合い代理店」の規制強化案を提示したことを、各メディアが伝えている。複数の保険会社を比較・検討できるのだから、消費者にとってメリットが大きいだろう……と思えるが、「手数料が高い商品を優先販売している」という指摘がなされている状況であり、同審議会は特定の商品を薦める理由を説明するよう義務付ける方向で検討している。

 そんななか、本日(3月4日)付日本経済新聞朝刊は、乗り合い代理店の急増を大きく報じている。大手4社が展開する「ほけんの窓口」「保険クリニック」「保険見直し本舗」「みつばち保険ファーム」の店舗数は6月末に約800店に達する見通しで、これは4年前の2.7倍にあたるという。

 同紙にコメントを寄せた大手生命保険会社幹部によれば、乗り合い代理店が伸びている背景には、警備強化で職場の勧誘がしにくくなっているほか、大手生保の伝統的な販売手法ーーつまり、“生保レディ”の訪問を「嫌がる家庭が増えている」ため。そのため、乗合代理店が有力な販路として急成長を遂げているようだ。

 同じく、本日発売の「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社)は、「もう騙されない保険選び」と題した特集を組み、『中立公平は真っ赤なウソ! 手数料稼ぎに明け暮れる来店型保険ショップ』との見出しで、その内実を暴いている。

 記事によれば、代理店に対する高額な手数料とインセンティブを武器に、希望する商品を薦めさせている企業として、メットライフアリコが挙げられるという。同社元幹部は、一定の条件をクリアした代理店の店主だけが手にする裏のインセンティブ=「マッチング・ファンド」と呼ばれる退職金制度のようなものがあり、「地方の老舗代理店の店主の退職金は2億円に上った」と明かしている。

 同誌にもコメントを寄せた独立系保険コンサルタントの後藤亨氏は、日経新聞の紙面で「保険を売ることが目的の乗り合い代理店が中立であることは難しく、手数料が多かったり、ノルマが設定されたりしている商品を顧客に勧めている可能性がある」と語った。莫大な見返りがあることが事実ならば、代理店が顧客の要望を軽視した“ゴリ押し商法”に走ってしまう可能性も否めない。

 金融審議会での議論により、こうした状況は是正されていくと思われるが、手数料の開示義務については結論が出ていない状況だ。日経新聞によれば、日本で唯一、自主的に代理店に支払う手数料を開示しているのは、新興のライフネット生命保険。同社の出口治明社長は、「日本でも投資信託の販売手数料は開示されており、保険だけ非公開なのは道理に合わない」としている。

 また、ニュースサイト「ZAKZAK」では、経済評論家・山崎元氏も同様に株式や投資信託で手数料が明示されていることを例に挙げ、以下のように指摘している。

「生命保険はこれらよりも複雑で高額な商品。手数料の開示は最低限必要な消費者保護措置だ」
「乗り合い販売代理店が、顧客に対して手数料に見合う価値あるサービスを提供していると自信を持っているなら、代理店が得る手数料を開示することに何の問題もあるまい」

 各メディアが懸念を示している「乗り合い代理店」問題。保険業法の改正に期待がかかるところだが、まずは店頭の無料相談で“高いコスト”を払わされていないか、消費者にも注意力と知識が求められていると言えそうだ。
(文=blueprint)